第21回

今週の花(11月23日) ケシ、ポピー パパベル ~イギリス花紀行

エルミタージュ=隠れ家的な、走川さんご夫婦のお庭から、今が旬の「今週の花」を紹介します。冬の期間は、印象に残るガーデンから、花をピックアップしてお伝え。

撮影:走川 正裕 ・ 貴美 文:走川 貴美

今回は「ケシ」。まるでペーパークラフトのようなクシャクシャとした花弁が開くと、真ん中にコロンと丸い花芯が出てきます。色もはかなげなものからドキッとするような派手なものまでさまざまです。

優しい花色や鮮やかなものまで多彩にある。写真はイギリスのガーデンから、以下同
優しい花色や鮮やかなものまで多彩にある。写真はイギリスのガーデンから、以下同

独特の雰囲気を醸し、大き目の花に目を奪われてしまいますよね。ほかの宿根草の中でも存在感があります。イギリスの庭では多くの種類のケシが植えられていて、とても印象的でした。

ほかの宿根草と混植される中で、大きな花が揺れる姿が目を引いていた
ほかの宿根草と混植される中で、大きな花が揺れる姿が目を引いていた

しかしながら、日本では栽培が禁止されている種類があります。見分け方は、基部の葉が茎を抱き込むように巻き付いているもので、それは育ててはいけません。見つかると結構大変なことになります。知らずに育てていて、警察に出頭させられた…という話しも聞きます。
数年前、お巡りさんがヒナゲシを持って私の所に来ました。通報があったので見てほしいとのことでしたが、それは大丈夫なものでした。この辺りにはこぼれダネで道路の縁にもたくさん育っています。モネの絵に出てくるヒナゲシです。コクリコとも言われますね。

 

以前イギリスでケシのタネを数種類買ってきましたが、その中に禁止されているものがありました。きれいで可愛いくて惜しいのですが諦めました。

写真は、日本で育ててはダメな種類。イギリスの庭ではたくさんの種類が、宿根草やバラと混植されて楽しまれている
写真は、日本で育ててはダメな種類。イギリスの庭ではたくさんの種類が、宿根草やバラと混植されて楽しまれている

また、ヒマラヤの青いケシがイギリスでも育てられていました。夏にあまり暑くならない気候がよいのでしょうね。25度を超える地域ではダメになってしまいます。数回育ててみましたが、我が家では失敗しました。いつかヒマラヤの青いケシを見に行きたいと思って、山岳・植物写真家の梅沢俊さんの講演を聞きに行ったこともありましたが、登山技術がないと無理だとわかり非常にがっかりしたことを覚えています(笑)。

ヒマラヤを自生地とする青いケシ(ブルーポピー)。標高4000~5000mに咲いて暑さに弱いため、夏も冷涼な気候を好む
ヒマラヤを自生地とする青いケシ(ブルーポピー)。標高4000~5000mに咲いて暑さに弱いため、夏も冷涼な気候を好む

イギリスの庭でヒマラヤの青いケシがきれいに咲いているのを見てうらやましい限りでしたが、北海道でも数カ所で見ることができるので、最近はそこまで出かけて、繊細な花の姿を楽しませてもらっています。札幌では滝野すずらん丘陵公園、上川町にある大雪 森のガーデン、幌延町のトナカイ観光牧場に隣接するガーデンなどで、6月中旬~7月上・中旬くらいに見られるようですね。

この記事を書いた人

走川  貴美

走川 貴美

「オフィスサムグリーン」代表。「AMAサポーターズ倶楽部」代表、2016年に第27回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰受賞。日本フラワーデザイナー協会の講師なども務める。6年前から長沼町に移り住み、約750坪の庭を手入れしながら大好きな花々と緑に囲まれて暮らす。

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