
わたしの庭どうぐ <第10回> 普段づかいの「ガーデニンググローブ」
武藤 良幸
ガーデニングに欠かせない靴、それはレインブーツ(長靴)ではないでしょうか。雨の庭はお休みするとしても、朝露(あさつゆ)や水やりで湿った土に靴を踏み入れることは、ガーデニングの日常です。今回は、ガーデニングに特化したレインブーツ選びについて、3つのポイントをお伝えしたいと思います。
ガーデニングブームやアウトドアブームのお陰だと私は思っていますが、ここ十数年でレインブーツの選択肢は大きく広がりました。コスパがよい合成ゴムの長靴から、タウンユースできるおしゃれなもの、ロング丈やショート丈など…今や多種多様のレインブーツが販売されています。ガーデニング用にどんなレインブーツを選べばいいか、迷ってしまいますね。
まず、1つめのポイントとして、気分を上げてガーデニングを楽しむなら、やっぱり素敵なブーツを選びたいところ。人気のブランドやおしゃれなカラーリング、履いたときのシルエットだって重要です。
ハンターやエーグル、ル・シャモーなど、英仏ブランドのレインブーツを愛用する有名人やファッション誌の影響もあり、乗馬ブーツのような丈長で細身のレインブーツが主流になった時期もありました。ところが、そのようなレインブーツは脱ぎにくく、重いし、そしてしゃがみにくい!
ガーデニングは、「しゃがむ」姿勢が基本と言っても過言ではありませんので、ファッション性の高いレインブーツやフィールドブーツを履いてしゃがむと、足首が痛くなることがあります。その結果、しゃがむ姿勢が安定せず、膝や腰にまで余計な負担がかかりかねません。そもそもブーツって、しゃがむことを前提にデザインされていないのかも。
そこで注目を浴びたのが、折りたたみできるソフトラバー素材のレインブーツです。ここ数年、カラーバリエーション豊富な「バードウォッチング長靴」や、丸めてコンパクトに持ち運びできる「パッカブルブーツ」の人気が続いています。しかし、柔らかでよいと言う声がある一方、柔らかすぎてズレ落ちやすいとこぼすガーデナーの声もあります。ガーデニング用なら、しゃがみやすい柔らかさと適度な張りを併せ持ったレインブーツ。これが2つめのポイントです。
そして最後のポイント、それは靴底です。雪国の人は、滑りにくそうな凹凸(おうとつ)のある靴底を選びがちのように思いますが、そういう靴底ほど泥がつきやすくて取れにくいもの。靴底にこびりついた泥を落とす苦労を考えると、ガーデニング用の靴底はできるだけ凹凸の少ないフラットなものがおすすめです。
私が使っているのは、「田植長(たうえなが)」という田植え用の長靴。履きやすく脱ぎやすいのにブカブカしすぎない絶妙なシルエット、上質な天然ゴム特有の柔らかさがありながらもルーズに下がりにくい適度な張り、そして、泥離れしやすい靴底。日本の稲作文化の英知が、この長靴に生かされていると思います。
今や希少となってしまった純国産ラバーブーツを製造する小樽市の「第一ゴム」をはじめ、他メーカーからも田植え用ゴム長靴が販売されていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
ただし、この田植え用長靴がおしゃれかというと…、私はそうとは思えませんが、機能性は抜群! おしゃれも楽しむガーデナーの視線がこのブーツに多く注がれることで、高いポテンシャルを持つ田植え用長靴のファッション面での改良や、ガーデニングに特化した新しいブーツの誕生を期待したいところです。
というより、庭どうぐの企画やデザインを専門とする私がもっと頑張らないといけませんね。
「momiji合同会社」代表。「momiji(もみじ)」は人と園芸、人と庭をつなぐための会社。若い園芸家や庭師を育て、彼らの道具や新しいガーデニンググッズの企画・販売を行なう。また、おしゃれな道具など介し、園芸・ガーデニングの普及活動に努めている。
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