第1回

北海道の花育て【1月】―芝生のこと。寒冷地型の芝の種類について知っておこう

北海道のバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理をプロの皆さんが伝授。ここでは、「芝生」についてお伝えします。

教えてくれる人

赤石 恵一さん
造園店「エルガーデン」代表。個人の庭から、公共の緑地帯の緑地帯の維持管理・工事まで行なう。

赤石 恵一さん(エルガーデン)
赤石 恵一さん(エルガーデン)

積雪下での芝生の対処

北海道と一言でいっても広いので、道南の方と道北の方では気温も積雪量も違いがあるかと思います。ここでは、札幌を中心とした道央圏の気候と積雪量でお話ししていきます。
1月の札幌ですと、あくまで平均ですが最高気温は1℃~マイナス2℃、最低気温はマイナス10℃~マイナス13℃。もちろん暖気が入り込んで暖かい日やもっと寒さが厳しい日もありますが、積雪量は1~2m程度となります。芝生はどうなっているのかというと、積雪下ですので太陽の光も当たらない状態ではあるものの、芝付近の気温は雪の下では意外と安定しており、自然の冷蔵庫状態と考えてよいかと思います。
ただ、基本的には生育期間ではなく休眠状態ですので、耐寒性のあるほかの宿根草と同じように、枯れ死しているのではなく、雪を多く被っても芝自体は春を待ちながらじっと耐えている状態となります。

降雪量の少ない地域は…
土壌の凍結に注意が必要です。地面が凍って、霜柱(しもばしら)で土ごと持ち上がる状態があまりに多く繰り返し続くと、芝自体が弱ったり、芝の色が落ちたりすることがありますので、注意深く観察することが必要かも知れません。なお、雪の少ない地域で11月、12月に新規に張芝施工された場合は、芝自体がまだ発根せずに冬を迎えていますので、状態を日々チェックすることも必要ですね。

 

降雪量が多い地域は…
雪の重さで地面は安定しており、また雪の内部はほぼ一定の気温が保たれた状態となりますので、ドンと雪が降った後の1月、2月は何もせず見守るだけになります。

寒冷地の芝の種類を知っておこう

芝の種類は日本芝と西洋芝があり、本州ではノシバ、高麗芝(コウライシバ)、姫高麗芝(ヒメコウライシバ)の日本芝が多く使われています。生育もとても旺盛で、匍匐茎(ほふくけい)でどんどん繁殖しますので、市松(模様)状に隙間を空けて芝を張ってもすぐに覆われるほどですが、北海道では冬場の寒さに耐えらず(道内では一部道南の地域を除く)、ほとんが枯れてしまいます。
そのため道内の庭で多く使用されているのは、寒さに強い寒地型の西洋芝「ケンタッキーブルーグラス」が主となっています。ただケンタッキーブルーグラスのほかにも、寒地型の西洋芝の種類がありますので、庭の場面で使うことは少ないのかもしれませんが、参考までに知識として覚えておいてはどうでしょうか。

寒冷地型の西洋芝

ケンタッキーブルーグラス
西洋芝の中でも最も有名で、北海道、東北、高冷地などの冷涼地で利用される芝生の基本草種。ゴルフ場や公園、そして個人のお庭に多く使用されている種類です。昨シーズンは基本種よりも耐暑性や耐病性が改良された品種が開発され、利用範囲が広がっています。ただ、播種した際(タネから育てた際)の初期植生が遅いので、芝が密に育つまでは時間が必要となる品種です。

ケンタッキーブルーグラスの生産圃場。芝をロール状にして販売する
ケンタッキーブルーグラスの生産圃場。芝をロール状にして販売する
ケンタッキーブルーグラスは、公園や運動場で多く利用されている
ケンタッキーブルーグラスは、公園や運動場で多く利用されている

ベントグラス
寒地型の芝生で、葉が繊細で柔らかく美しい芝生です。低刈りや頻繁に刈り込むことにも耐えるので、ゴルフ場のグリーンを中心に利用されています。ただし、個人の庭の場面では管理が難しいです。

匍匐(ほふく)型のクリーピングベントグラスと、匍匐茎を持たないコロニアルベントグラスがあります。

 

ペレニアルライグラス
常緑の単年草ですが、冷涼な気候を好む寒地型の芝草です。初期生育が早く、早期に美しいターフ(芝原)に仕上げることができるので、最近では公園などの緑地帯に使用されることが増えています。芝生の補修用としても多く利用されています。

ペレニアルライグラスは、早期にターフを形成できる利点がある
ペレニアルライグラスは、早期にターフを形成できる利点がある

フェスク類
寒地型の西洋芝ですが暑さにも強く、根も深く張るので乾燥にも強いタイプです。基本種は葉も粗く、道路の法面(のりめん)などに使われることが多い品種でしたが、近年は葉が繊細なタイプや矮性タイプも増えて利用幅が広がりつつあります。

 

ライグラス類
寒さにとても強い品種で、丈夫な株を早期につくりますので、土木用の芝に使われることが多いです。こちらも近年は改良が進み、繊細な芝生をつくることができる期待の品種。これからはスポーツのグランドなどの場面で使用が増えそうです。

 

そのほかの寒地型西洋芝について、芝の種類は意外とあり、先に紹介した種類のほかにも、牧草芝として使われるオーチャードグラスやチモシー(穂が猫じゃらしに似ている)があります。庭の場面では使うことがないかもしれませんが、同じ寒地型の西洋芝として覚えておいてもよいでしょう。

ケンタッキーブルーグラスのタネは2㎜ほどの細かいタネ
ケンタッキーブルーグラスのタネは2㎜ほどの細かいタネ
ペレニアルライグラスのタネ。ケンタッキーブルーグラスよりも一回り大きい3~4㎜、発芽もそれより早い
ペレニアルライグラスのタネ。ケンタッキーブルーグラスよりも一回り大きい3~4㎜、発芽もそれより早い

この記事を書いた人

赤石恵一

恵庭市にある造園店「エルガーデン」代表。公共の緑地来の維持管理・工事をはじめ、個人の庭の設計・施工などのも行なう。芝庭・バラの庭を得意とする。ご自宅の庭では、バラの庭づくりを長年楽しんでいる。

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