第17回

春に向けた準備「苗づくり」その2――「鉢上げ」のタイミングと作業

今回は「苗づくり」の続き、鉢上げについてお伝え――。  季節ごとの野菜やハーブ、果樹、お花など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。

プロフィール

藤井 純子さん

「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとしてセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。野菜ソムリエ、ハーバルセラピスト。

セルトレーからビニールポットに苗を鉢上げし、さらに1カ月ほど経過した苗(ブッシュバジルの苗)。春の定植までもう少し
セルトレーからビニールポットに苗を鉢上げし、さらに1カ月ほど経過した苗(ブッシュバジルの苗)。春の定植までもう少し

鉢上げのタイミング

タネまきから、日々少しずつ成長が進んでいます。セルトレーの中で大きくなってきたら、次は「鉢上げ」を行ないます。タイミングの目安がいくつかありますので、ここで確認しておきましょう。

 

①隣の葉と触れ合うようになった頃

隣の葉と触れ合うようになると、苗が混み合って風通しが悪くなってきます。病害虫が発生しやすくなるので、鉢上げをするようにしましょう! また、隣の苗よりも大きくなろうとするため、徒長苗の原因にもなってしまいます。

トマトの苗の様子。葉が触れ合って窮屈そう
トマトの苗の様子。葉が触れ合って窮屈そう

②本葉が3~5枚ほど成長した頃

葉の色が薄くなったり、黄色になったりするのは栄養が足りないサイン。その前に、栄養分を含んでいる「培養土」に鉢上げするようにします。

③セルの中で根がしっかりと育った頃

鉢上げが遅れると、根が育ちすぎて苗が老化してしまうことがあります。逆に、早すぎると根が育っていないため、鉢上げ後の生育に支障がでる場合があります。

 

おおよそ①②を満たした頃がよいでしょう。

根がほどよく回っている
根がほどよく回っている
少し根が回りすぎている
少し根が回りすぎている

「鉢上げ」の方法 ~手順を追ってやってみよう

必要な道具・材料など

・培養土、育苗土(栄養分が入った培養土、水はけがよく軽い土)
・ビニールポット(サイズの目安:ハーブ苗は6~9cmポット、野菜苗は9~12cmポット)
・ピンセット(竹串や割りばしでも可)
・土入れスコップ
・底面給水トレー(深さ5cmほどのトレー)
・ジョウロやスプレー(キリフキ)、手袋、新聞紙 など

ビニールポット。サイズは大きな方から、10.5cm(左)、9cm(中央)、7.5cm(右)のポット。赤色トマト、黄色トマトなど色分けしておくと、間違いを防いで管理がしやすくなる
ビニールポット。サイズは大きな方から、10.5cm(左)、9cm(中央)、7.5cm(右)のポット。赤色トマト、黄色トマトなど色分けしておくと、間違いを防いで管理がしやすくなる

鉢上げの手順

1. ビニールポットに土を入れる。あらかじめ培養土を1cmほど入れておく

1cmほど土を入れておく
1cmほど土を入れておく

2. セルトレーから苗を抜き取る。セルトレーの縁からピンセットを入れ、底からすくうようにして抜く

 

<point> ・タネまきの際にしっかりと鎮圧しておくと、土が崩れず抜きやすくなります。

底からすくうようなイメージで
底からすくうようなイメージで

3. 苗をビニールポットに入れる。中心に置いて、ポットを回しながら、苗の周囲に培養土を入れいく。深植えにならないようにしつつ、ポットの9割ほど土を入れる

 

<point> ・葉には土がつかないようにする。葉の裏には気孔があり呼吸をしていますので、葉に土がつかないように気をつけましょう。

葉に土がつかないように、そっと優しく
葉に土がつかないように、そっと優しく

4. 軽く土を押さえ鎮圧する。土がふわふわしているとしっかりと根が張れないので、優しくしっかりと押さえて鎮圧を。ネームプレートも挿しておく

優しくしっかりと鎮圧する
優しくしっかりと鎮圧する

5. 間引きを行なう。込み合っている場合は、1~3本になるように間引きする。抜きにくければ、根元からハサミでカット。茎が太く、葉がきれいに育っているもの残すようにするとよい

6. 最後に水やりを。給水トレーに苗を並べ、苗に水がかからないように周囲から水を注ぐ。葉に水がかかってしまうと、葉が下がり土がついてしまうので、病気の原因になることも

 

<point> ・タネまきの時と同様に、トレーの左上からビニールポットを並べていくと、品種の管理がしやすくなります。

左上から並べるようにする
左上から並べるようにする

鉢上げ後の管理の方法

置き場所と水やり

日中は日の当たる場所に置いて、夜間は照明の当たらない場所に置きましょう。水は、乾いたことを確認してからたっぷりと与えます。根は水を求めて伸びる習性があります。根が伸びると地上部(葉や茎)が育って光合成が盛んになり、株全体が大きくよい苗になります。時々、葉にスプレー(キリフキ)で水を噴霧したり、株元を押さえると根がしっかりと張り、よい苗ができます。
また、管理の際に、夜間に照明が当たったり、水分が多すぎたりすると、ひょろひょろと徒長した苗になるので、注意してください。

鉢広げ・スペーシング

鉢上げした苗が成長し、隣の葉と触れるようになってきたら、苗と苗の間隔をあけるようにします。これを「鉢広げ」や「スペーシング」と言います。日当たりと風通しがよくなり、その後の成長もよくなります。また、隣の苗よりも大きくなろうとするため、徒長を予防することもできます

スペーシングをして苗が広々とした状態に
スペーシングをして苗が広々とした状態に

摘芯(てきしん)

生長点を摘み取ることで、脇芽が増えて株全体のボリュームが大きくなります。摘芯の必要性は植物によって違いますので、詳しくはタネ袋などの説明を確認してください。マリーゴールドやペチュニア、アリッサム、ナスタチウムなどの花の苗は、本葉が4~8枚以上になったら生長点を摘み取ります。バジルは、草丈が 20~30cmほどになったら摘芯します。

バジルを摘芯している様子
バジルを摘芯している様子

定植するまではもうしばらくかかりますが、小さかった苗が少しずつ大きくなっていく様子を眺めるのも、楽しい時間です。毎朝「おはよう!」と声をかけながらお手入れしていると、思いが伝わり“よい苗”になるような気がしています。

 

次回は、ジャーマンカモミールやチャイブなど、こぼれダネで手軽に育つハーブをご紹介したいと思います。

 

この記事を書いた人

藤井 純子

藤井 純子

「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

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