第34回

今週の花(3月28日) アスチルベ

エルミタージュ=隠れ家的な、走川さんご夫婦のお庭から、今が旬の「今週の花」を紹介します。冬の期間は、印象に残るガーデン・花をピックアップしてお伝え。

撮影:走川 正裕 ・ 貴美 文:走川 貴美

アスチルベは、寒さに強い宿根草です。日なたでも日陰でも育つ、便利な花。穂のような花を付けて、シュッとした、尖ったような独特の形をしています。

雨にも強いところが、またいいですね。雨降り後の花は風情があって好きです。日本原産のものがヨーロッパに渡り、品種改良されたものが園芸種として出回っています。ですから、日本の地において育てやすいのだと思います。
泡盛草(アワモリソウ)や、曙升麻(アケボノショウマ)などとも呼ばれ、とても日本的ですね。

花は穂のような形状をしている
花は穂のような形状をしている
一つひとつはごく小さな花。蕾(つぼみ)から咲き始めは、つぶつぶのビーズのよう
一つひとつはごく小さな花。蕾(つぼみ)から咲き始めは、つぶつぶのビーズのよう

日当たりで育てると花色はよくなるのですが、がっしりとした花穂に育ちます。日陰ですと、楚々とした雰囲気の花穂になるのです。それで我が家では、日なたには赤やピンクなど色があるものを植え、日陰には白花のものを植えています。

日なたではボリューミーな花穂になる
日なたではボリューミーな花穂になる
個性的な形状、鮮やかな花色は、ほかの花々の中でも目を引く
個性的な形状、鮮やかな花色は、ほかの花々の中でも目を引く
白花のアスチルベ。日陰で楚々とした装い
白花のアスチルベ。日陰で楚々とした装い

春の新葉は赤銅色。初夏になる頃、グリーンに変わっていくので、カラーリーフのようにしても使えますね。晩秋には、地上部を根元から刈り取ります。
我が家ではホスタと共演させているところが多く、ホスタの丸い形とアスチルベの尖った形がとてもよくマッチしていますよ。

ホスタとの共演。彩りに使ったり、斑入りのホスタとの色合わせを楽しんだり
ホスタとの共演。彩りに使ったり、斑入りのホスタとの色合わせを楽しんだり
日陰の小道に沿って、ホスタとともにボーダー状に植栽。アスチルベの白い花穂をアクセントにして
日陰の小道に沿って、ホスタとともにボーダー状に植栽。アスチルベの白い花穂をアクセントにして

花が咲き終わると色がくすんでくるので、早めに刈り取ると根の成長を助けられます。その後は、葉の色だけで庭を演出。アスチルベは葉の形もきれいなので、フラワーアレンジメントのグリーンとしても使える優れものです。

 

イギリスでは、日陰よりも、日なたに植えているところが多い印象があります。
「ウォーターペリーガーデン」では、ボーダーの中ほどに植えてあり、アスチルベのスーッと伸びた花穂とホスタの丸い葉が印象的でした。
「ハンプトンコート フラワーショー」では、数種類の色の異なる花穂が立ち上がって、優しい雰囲気の空間に演出されていました。

アスチルベの花穂と、ホスタの丸い大きな葉の組み合わせ。「ウォーターペリーガーデン」から
アスチルベの花穂と、ホスタの丸い大きな葉の組み合わせ。「ウォーターペリーガーデン」から
ほかの花や葉ものと、アスチルベの共演。花穂が優しげな雰囲気を演出する。「ハンプトンコート フラワーショー」から
ほかの花や葉ものと、アスチルベの共演。花穂が優しげな雰囲気を演出する。「ハンプトンコート フラワーショー」から

割とどのような場所にも、風景にもマッチしてくれる、ほんわりと優しい花です。アスチルベは初心者でも育てやすい、おすすめの花ですよ。

この記事を書いた人

走川  貴美

走川 貴美

「オフィスサムグリーン」代表。「AMAサポーターズ倶楽部」代表、2016年に第27回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰受賞。日本フラワーデザイナー協会の講師なども務める。6年前から長沼町に移り住み、約750坪の庭を手入れしながら大好きな花々と緑に囲まれて暮らす。

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