
今週の花(7月11日) 宿根スイートピー
走川 貴美
エルミタージュ=隠れ家的な、走川さんご夫婦のお庭から、今が旬の「今週の花」を紹介します。冬の期間は、印象に残るガーデン・花をピックアップしてお伝え。
撮影:走川 正裕 ・ 貴美 文:走川 貴美
そうそう、春一番に咲いてくる花の中にプルサティラ・ブルガリス(西洋翁草)があります。翁草(オキナグサ)なんて言う名前、面白いですね。白頭草(はくとうそう)などとも呼ばれるそうです。花後にできるタネには白く長い毛があり、おじいさんの白髪に似ているからとか、髭(ひげ)に似ているからですって。
ずいぶん昔に、ニセコで初めてこの花を見たとき、初夏だったのでもう髭のようなタネになっていました。ガーデンのスタッフさんに名前を聞いたところ、翁草と言われて、その形態から「ふーん、納得」と思ったものです。
日本の翁草は、本州から九州の山地に咲いています。環境庁の「植物版レッドリスト」では、絶滅危惧Ⅱ類にランクされているそうで、環境変化と乱獲が原因とか。西洋翁草と比較すると環境適応力が弱いことから、栽培するなら西洋翁草の方がよいと思います。暑さには弱いけれど、寒さに強いので北海道向きです。
雪がまだ全部解け切らないうちから、地面を押してにょきにょきと出て来ます。可愛い「芽出し」です。花は、最初は下向きに咲きだします。それから上向きになって開花させます。不思議な花で、株ごとに同じ花色がないのです。少しずつ色が違っています。ニュアンスカラーと言えばいいのでしょうか。鮮やかではありませんが、心惹かれる花色です。
そして、花後に付けるタネが髭ような姿になり始める頃、周りの宿根草が勢いよく伸びてきます。ですから、春を呼び込んで、次につなげてくれる花のような気がしています。
背丈が低いので、我が家の庭では通路の縁に植えています。上から見てもなかなか可愛らしい花です。黄色の花芯の何とも言えない、ほっこり感もいいですよ。
早春からずーと楽しませてくれる西洋翁草を、ぜひお庭の仲間に迎え入れ、育ててみてくださいね。
この記事を書いた人
「オフィスサムグリーン」代表。「AMAサポーターズ倶楽部」代表、2016年に第27回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰受賞。日本フラワーデザイナー協会の講師なども務める。6年前から長沼町に移り住み、約750坪の庭を手入れしながら大好きな花々と緑に囲まれて暮らす。
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