第6回

わたしの庭どうぐ <第6回> 雨のようなシャワーの「セクターノズル」

ガーデニングを快適に! 使いやすい道具やおしゃれなガーデニングウェアを身に着けて、庭しごとを楽しく行ないましょう。「庭どうぐ」の基本の選び方、豆知識、おすすめなどを、園芸グッズの企画・開発も行なう武藤良幸さんが伝授します。

 

ホースと散水ノズル。花や苗に繊細なシャワーを

自分の庭を持ったら、最初にホースと散水ノズルを買う人は多いと思います。ホームセンターへ行くと、ホースとノズルのセット品がたくさん売られていますよね。そこでまず悩むのが、ホースの長さではないでしょうか。

ホースの長さを選ぶには、庭にある散水栓(蛇口)から最も離れた水やり箇所までの距離をあらかじめ知っておく必要があります。実測するか、敷地図を使って距離を測り、その1.5倍以上の長さのホースを選ぶようにします。

ただし、必要以上に長いホースは、巻き取りや収納が大変。ホースは、水やりが終わるたびに中の水を抜き、ねじれたり折れたりしないように巻き取ってから、直射日光の当たらない場所へ収納してこそ長持ちします。水抜きや巻き取りで苦労する前に、自分の庭の広さや目的に合った長さを知ってから購入するのがよいでしょう。

私が所有している散水道具。作業範囲に合わせ、扱いやすい長さのホースとセクターノズル2種
私が所有している散水道具。作業範囲に合わせ、扱いやすい長さのホースとセクターノズル2種

次に、ノズル。ホースとセットで販売されるノズルの多くは、水の出かたをシャワーやミスト、ジェットなど、いくつかの種類に切り替えることができます。菜園の水やりから洗車にも使える便利なノズルですが、植物の水やりにジェット噴射は必要ありません。

最近、ようやく植物の言葉がかすかに聞こえるようになってきたところですが、彼ら曰く、「私たちはジェット噴射の水が大嫌い」だそうです。
車を洗う勢いで植物に水をかけていませんか? 離れた植物に水やりするとき、面倒だからとジェット噴射の水を飛ばしていませんか?

植物が望む水やり、それは「雨のような水」だそうです。雨をガーデナーが再現するなら、空気をたっぷりと含んだ、やわらかいシャワー状の水を植物の上からそっとかけなくてはなりません。理想はジョウロの優しいシャワーですが、広い庭ですとジョウロの水をいちいち汲み足すのは面倒。庭ではホースを使い、ノズルはシャワータイプを選びんで水やりを行ないましょう。

 

ジェット噴射の水は葉や茎を傷めたり、土すら吹き飛ばしかねません。「愛ある優しい水やりを心がけてほしい」、彼ら(植物)はそう私に訴えているように思います。植物の水やりに時短は禁物。時間はかかりますが、じっくりたっぷり優しい水をかけてほしい、私からもお願いします。

アメリカ Gilmour(ギルモア)製のハンディ型セクターノズル。小型で、水流はシャワーのみ。穴が大きいので荒めのシャワーに
アメリカ Gilmour(ギルモア)製のハンディ型セクターノズル。小型で、水流はシャワーのみ。穴が大きいので荒めのシャワーに

一般にノズルは、軽量でコスパがよいプラスチック製が多いものの、落として破損することもあります。また、デザインにこだわりを持ったノズルで気分を上げたいという声もよく聞きますが、欧米のガーデニングメーカー品に多い、一見おしゃれなアルミ製ノズルは、耐久面やパーツの組み込み精度で、おすすめしたいと思えるものはあまりないかもしれません。

 

植物の水やりに特化したノズルは、シンプルで丈夫なものに限ると思っていますが、そこでプロの園芸家や農家が使うノズルに変えてみるのはいかがでしょう。

私が使っているノズルの一つが、農家の育苗や盆栽の管理でも使われるメタル製ノズル。長いハンドルと小さな穴がたくさん開いた蓮口(はすぐち:水の出口)が特徴で、シャワー状の水しか出ません。
ステンレスや真鍮(しんちゅう)といった頑丈な素材でできているため、ハンドルが長ければ長いほど重たくなりますが、植え込みの奥の植物や、高い位置にあるハンギングバスケットの水やりもラクです。驚くほど繊細なシャワーは、弱々しい苗への水やりにも適しています。また、このタイプのノズルは、手元で水を止められる「コック付き」が便利。

栄工業のセクターノズル。全長は約40cm、手元で水の開閉ができる赤いレバー(コック)が付いている
栄工業のセクターノズル。全長は約40cm、手元で水の開閉ができる赤いレバー(コック)が付いている
水やりを行ないながら、手元で水を止めたり、散水を再開できて便利(写真提供:栄工業)
水やりを行ないながら、手元で水を止めたり、散水を再開できて便利(写真提供:栄工業)

ただし、このタイプのノズルで注意したいのが水圧の確認です。蓮口が大きいほど高い水圧が必要となります。散水ノズルには、家庭の蛇口で使える一般水道用と高水圧を必要とする動力ポンプ用がありますので、家庭でのガーデニングなら一般水道用のノズルを選びましょう。

 

新潟県燕市にある、栄工業の「セクターノズル」という扇型ノズルは、円形の蓮口と違ってシャワーが横に拡散します。“雨のような繊細なシャワー”を葉の上からだけでなく、根元にもかけやすい特徴があります。誤って踏んだり、手から落としてもなかなか壊れない丈夫さと、水あかの掃除のしやすさもお気に入りです。

栄工業製のセクターノズル。サイズ感がほかに比べ小さく、蓮口の穴が非常に細かい
栄工業製のセクターノズル。サイズ感がほかに比べ小さく、蓮口の穴が非常に細かい
扇型ノズルで、繊細なシャワーが横に広がる(写真提供:栄工業)
扇型ノズルで、繊細なシャワーが横に広がる(写真提供:栄工業)

私が小学生だった頃、特に興味もなかった自宅の庭に、真鍮製のガンタイプのノズルがやって来ました。それはまるで、宇宙戦隊が持つレーザー銃のようなノズルで、たまたま宇宙戦隊に加入したかった当時の私は、そのノズルと庭の水やりにどっぷりとハマり、そこから植物への興味につながりました。

今になって思うと、あのノズルは私に水やりを手伝わせる手段だったのかもしれません。そして当時、念願の宇宙戦隊になった私は、朝夕とレーザー光線のようなジェット噴射の水を草木にかけまくっていたことを今、ここでお詫びしたいです…。

この記事を書いた人

武藤 良幸

武藤 良幸

「momiji合同会社」代表。「momiji(もみじ)」は人と園芸、人と庭をつなぐための会社。若い園芸家や庭師を育て、彼らの道具や新しいガーデニンググッズの企画・販売を行なう。また、おしゃれな道具など介し、園芸・ガーデニングの普及活動に努めている。

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