第19回

野菜の定植時期は、3回に分けて

今回は、野菜苗の定植のタイミングについてお伝え――。 季節ごとの野菜やハーブ、果樹、お花など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。

プロフィール

藤井 純子さん

「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとしてセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。野菜ソムリエ、ハーバルセラピスト。

 

 

今年の札幌は、例年にないほどの大雪に見舞われましたが、順調に雪解けが進み、菜園では宿根草のツルニチニチソウやタイム、ネギなどが顔を出し始めました。自然の力には感心するばかりですね。

 

そろそろ、植え付け時期を考え始めている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、桜の開花時期と野菜の主要生産地を参考にすることで、全国どこでも応用できる定植時期の考え方をお伝えします。

八重桜(ヤエザクラ)。北海道では、もうすぐ桜が咲く時期
八重桜(ヤエザクラ)。北海道では、もうすぐ桜が咲く時期

私自身、20年ほど前から、50種類以上の野菜やハーブなどを育て始めましたが、当時は今ほどネットなどの情報もない頃でした。そのときに参考にしていたのが、スーパーの野菜コーナーに表記されている生産地や、そこに並ぶ旬の野菜たちでした。
「あなたはどこから来たの?」「どんな環境が好きなの?」と、想像力を膨らませながら野菜を眺め、定植時期や栽培環境の目安にしていました。
例えば、オクラはフィリピンや沖縄産が多く、暑い環境で育つ野菜。しっかりと気温が高くなってから定植するのがよいことがわかります。

オクラ。春先はビニールのトンネルをかけ、地温を上げるビニールマルチを張る
オクラ。春先はビニールのトンネルをかけ、地温を上げるビニールマルチを張る

 

私のポタジェでは、3回に分けて定植しています。
1回目は、桜(ソメイヨシノ)が咲く頃。寒さに強いけれど、暑さが苦手な植物たちです。

 

●ホウレンソウ
真冬に育つ「寒締めホウレンソウ」のように、ホウレンソウは寒さに当てることで甘くなります。暖かくなると徒長して花が咲いてしまうので、まだ寒さが残るうちにタネをまきましょう。

ホウレンソウ。寒さに当てることで甘くなる
ホウレンソウ。寒さに当てることで甘くなる

 

●レタスなどの葉物野菜
高原野菜と言われるレタスやキャベツは、涼しい環境を好み、暑さが苦手な野菜です。サヤエンドウ、春菊(シュンギク)、水菜(ミズナ)、ブロッコリー、カブ、オカヒジキなども寒さを好みます。

ベビーリーフ。暑さが苦手なものは、若いうちに収穫しておいしくいただく
ベビーリーフ。暑さが苦手なものは、若いうちに収穫しておいしくいただく

 

●ジャガイモ
ジャガイモの生産地と言えば、北海道が有名ですね。原産地は南米のアンデス山脈の高原地帯といわれ、冷涼な気候を好む野菜です。

ジャガイモ。冷涼な気候を好む北海道向きの野菜。収穫は7~8月頃
ジャガイモ。冷涼な気候を好む北海道向きの野菜。収穫は7~8月頃

 

2回目の定植時期は、八重桜が散る頃です。
ソメイヨシノに比べると開花時期が遅い八重桜。その時期になると遅霜の心配もなくなり、地温(土の中の温度)も上がってきます。天気予報を参考に、1週間ほど最低気温が10℃を下回らないことを確認してから植えるようにしましょう。おおよそ、1回目から2~3週間後。

1回目と3回目以外の野菜を定植します。トマトやキュウリ、カボチャなど、一般的な野菜はこの時期に植え付けましょう。ハーブ類もこの時期です。

ミニトマト。トマト類は夏にたくさん収穫できる楽しみも
ミニトマト。トマト類は夏にたくさん収穫できる楽しみも

 

3回目は、カッコウが鳴いたら。
昔から、「カッコウが鳴いたら豆をまけ」と言われています。この時期には、オクラのように寒さが苦手で、暖かい環境を好む植物の定植を行ないます。おおよそ1回目から1カ月後。2回目からは10日~2週間後を目安にします。

 

●エダマメ(大豆)、インゲン
この時期にタネまきするとよいでしょう。インゲンには、つるが伸びる「つるあり品種」と、つるが出ない「つるなし品種」があります。つるあり品種は、秋まで収穫できるので、とても重宝する野菜です。

エダマメ。葉を広げて育つので、30~40cm程度の間隔をあけるとよい
エダマメ。葉を広げて育つので、30~40cm程度の間隔をあけるとよい

 

●サツマイモ
サツマイモは、薩摩の芋ですね。薩摩とは現在の鹿児島県で、現在もサツマイモの生産量日本一を誇っています。気温が高く、水はけのよい火山灰土壌がサツマイモ栽培に適した環境であることがわかります。

サツマイモ。水はけのよい土壌で育てる。植え付け後、おおよそ110~150日で収穫期を迎える
サツマイモ。水はけのよい土壌で育てる。植え付け後、おおよそ110~150日で収穫期を迎える

 

●落花生
千葉県の名産品ですね。しっかりと暖かくなってから、苗を定植するようにしましょう。タネまきから5~6カ月ほどで収穫します。塩ゆで落花生は格別の味わいです。

落花生。可愛らしい苗から育つ様子を見守る
落花生。可愛らしい苗から育つ様子を見守る

 

そのほかにも、暖かい環境を好む野菜は、ゴーヤ、つるムラサキ、サトイモもこの時期(3回目)に定植します。

ゴーヤ。苦みのある味わいがクセになるつる性の野菜
ゴーヤ。苦みのある味わいがクセになるつる性の野菜

無理なく上手に育てる基本は、「適地適作」と言われています。適地適作とは、その土地の気候や土壌などの自然環境に適した作物を栽培することを言います。
現在は、温度管理されたハウス栽培の野菜も多く、旬を実感しづらくなってきていますが、適地適作で育てられた旬の野菜は無理なく育つため、病害虫の被害が少なく、美味しく、栄養満点。さらに、お値段も手頃に購入できるというメリットもあります。

 

ですから自宅の菜園では、それぞれの野菜に合った環境も考慮しながら、植え場所や好む土壌を整えたり、苗の定植を行なうなどして育ててみてくださいね。収穫のときの喜びもひとしおです。

 

次回は、菜園で愛用している“便利な道具”などをご紹介したいと思います。

この記事を書いた人

藤井 純子

藤井 純子

「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

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