第21回

宿根草のハーブがメインのガーデン

宿根草のハーブを植栽したガーデンをいくつかご紹介します。 …香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。「風葉香(ふうか)」は、風で葉っぱが揺れ香るハーブのことをイメージして。

プロフィール

かりの あさの

ハーブ研究家、ハーブ講座講師。ハーブのある暮らしの魅力を多方面から発信。

 

 

庭ではたくさんの新芽が、土からニョキニョキと出てくるシーズンになりました。最初は弱々しかった黄緑色の新芽たちも、お日さまの光を浴びて、背丈を伸ばして成長中です。

今回は、宿根草でつくっている監修先のガーデンをいくつかご紹介します。
ガーデンをつくるとき、「どんな植物を植えるか」と同じくらい重要なのが、「どのくらい手間をかける時間をつくれるか」ということ。

私の場合、監修先のガーデンにはヘッドガーデナーがいないことがほとんどなので、スタッフや職員の手間が少なくて済む、宿根草の中でも丈夫で、ボリュームのある植栽が多くなります。実際、「手間が少ないのがよい」という希望が最初に出てきます。そうなると、植物はほぼ決まってきます。

また、そのガーデンを、誰が、どのくらいの時間を費やせるか…なども考慮しながら、打ち合わせの中でガーデンの面積や土壌、向きや日当たり、建物との相性や、依頼主の好みなども合わせてプランを立てていきます。

宿根草は見応えが出てくるまでに2年以上かかるので、気長に待つことも大切。育っていく過程も楽しむ気持ちで、植物と付き合います。

みんなの丘コミニュティガーデン。通路の両脇にはアルケミラ モリス、ラムズイヤー、キャットミントなど
みんなの丘コミニュティガーデン。通路の両脇にはアルケミラ モリス、ラムズイヤー、キャットミントなど

福祉施設の敷地内に造成した「みんなの丘コミニュティガーデン」は、札幌市南区の土木センターでの「辻香るハーブの丘」事業の一環として、“地域のコミニュティの場”となるように造設されました。
ハーブがメインで、アルケミラ モリス、ラムズイヤー、キャットミントなどを通路の両脇に規則的に植栽し、アナベルやフェンネル、マシュマロウ、ハギやヒバなど背丈のあるものやバラもあります。
コミニュティガーデンは14年ほど経ち、少しずつ植栽の種類も変化してきて、年月を感じさせるガーデンとなっています。

また、事業の一つで街路ますの植栽も行ないました。一年草がメインだった植栽を、宿根草メインに切り替えました。春の植え込み作業と、毎年の苗予算の軽減を図る意味合いもあります。
ここは、町内会が管理をしています。選んだ植物は、こちらもアルケミラ モリス、ラムズイヤー、キャットミント、ラベンダーなどのハーブがメインです。

夏の様子。道路脇の両サイドにハーブが咲く街路ますが続き、見応えがある
夏の様子。道路脇の両サイドにハーブが咲く街路ますが続き、見応えがある
春の様子。私の家からも、歩いて行ける距離
春の様子。私の家からも、歩いて行ける距離

黒松内町でも宿根草メインのガーデンの造成を行ないました。道産木材をふんだんに使った新築の体育館前にあり、“町民が憩う空間”にもなっています。

黒松内町の体育館前のガーデン
黒松内町の体育館前のガーデン

また、同じ黒松内町にある小学校には花壇が2つあり、宿根草がメインですが、春に一年草を1、2年生の児童たちが追加で植えて、華やかさを足しています。生徒たちは花壇のハーブで、フラワーアイス(花の氷)を作ったり、身近な遊びに植物を取り入れています。

小学校に設けた花壇
小学校に設けた花壇
摘んだハーブの花を氷に閉じ込めて。素敵なフラワーアイスのできあがり

私は「香育」として授業を行なうこともあります。写真はないのですが、中学校にもハーブの花壇があり、3年生の授業の中に組み込まれています。育てたハーブを使ったもので、町民をおもてなしする取り組みも行なっています。

移転オープンする際に造成したケーキ屋さんのガーデンも10年が過ぎました。テラス席もあったり、散策ができるようになっています。ガーデンで育つハーブや花はオーナーが大切に育てており、お店で出すケーキや併設のカフェメニューなどにも利用されています。

フランス菓子「エリソン」のガーデン
フランス菓子「エリソン」のガーデン

ハーブをたくさん取り入れたガーデンの植栽は、花や葉の姿、香りを楽しむほかに、利用することでコミニュティが生まれる、心や暮らしが豊かになっていく…、といった利点があります。

自宅の庭以外に公共の場や店舗の庭での植栽に取り入れることで、多くの方がハーブの香りに触れることができます。子どもたちが小さな頃から植物に触れ、育て、摘み取り、利用する体験を積むことで、香りの記憶を増やすことも。
香りには好き嫌いがあるものですが、身近にあるたくさんの商品や医薬品の材料にもなっています。そんなハーブを育ててみると、お世話しているときも身近な植物であることを実感するものです。
積極的にハーブを取り入れてみてはいかがでしょうか。

植栽にもハーブを取り入れて、利用してみよう
植栽にもハーブを取り入れて、利用してみよう

この記事を書いた人

かりの あさの

かりの あさの

ハーブ研究家。(株)ルピシア グルマン顧問。ハーブを取り入れた植栽デザインや料理の提案、また、ハーブ講座の講師として活躍。日本園芸協会ハーブコーディネーター、JAISハーブ学習指導員、JEAJアロマテララピーアドバイザーほか。 自宅の庭で100種類以上のハーブの植栽、野菜栽培を楽しむ。かりのあさのHP「ハーブまるごと生活」では、ハーブ&アロマのトータル情報をお届け。Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「かりのハーブ」も。

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