第2回

ローズガーデンダイアリー<第2回>“香り”のよいバラ ~白い恋人パークから 

バラの開花シーズンを通して、白い恋人パークから「ローズガーデン」で咲くバラたちを紹介していきます。北海道で育つ品種やその性質なども参考にしてください。手入れの際のエピソードや、テクニックなども。

ローズガーデンの“香り”のよいバラに魅せられる―

6月下旬、「白い恋人パーク ローズガーデン」の一番花が満開になりました! 今シーズンの一番花は蕾(つぼみ)が多く、たくさんの花が咲いてくれました。多くの来園客の皆さんに一番花のボリュームと、香りを楽しんでいただきました。ガーデナーとしてとても嬉しく感じています。

ローズガーデンは開花の最盛期。一番花のボリュームと優雅な香りに包まれる
ローズガーデンは開花の最盛期。一番花のボリュームと優雅な香りに包まれる

バラの開花に合わせて、「白い恋人パークフラワーマルシェ」が6月17日~19日、6月24日~26日に開催されました。札幌市内の園芸店の出店や、わたしたち植栽チームのスタッフがタネから育てた苗の販売を行ない、たくさんの方々が訪れてくれました。また、フラワーマルシェのイベントとして、ローズガーデンツアーも2日間開催し、白い恋人パークのオープン前の誰もいないローズガーデンを散策しながら、ガーデン内に咲くバラの説明や育て方をお話しし、朝一番の“バラの香り”を十分に楽しんでいただけたと思います。
お好きなバラをカットして「モイストポプリ」作りも体験し、バラの香りを持ち帰っていただきました。1日目は残念ながら雨降りの中でカッパ着用の開催でしたが、参加者の皆さんはとても熱心に聞いてくださいました。

ガーデンツアーでもご紹介をした、白い恋人パーク ローズガーデンで特に“香り”のよい「イングリッシュローズ」をピックアップしてお伝えしましょう!

ローズガーデンで咲く“香り”のよいバラ

エブリン

ガーデン内で「香りのよい品種はどのバラですか?」と聞かれたら、真っ先にお伝えするバラが「エブリン」です。香水メーカーの名前がつけられたバラで、香りはピーチやアプリコットを感じさせるフルーティーな香りがします。残念なことに、イングリッシュローズのカタログからは外されて、現在は入手困難なバラになります。
ここ数年で新しいシュートも出てくれて、枝の更新がされました。一番花は大輪の花が咲き、花色はアプリコット色から咲き終わりにはピンクに変化します。返り咲き性で、秋は一番花ほど花を付けませが、秋の香りも楽しみなバラです。

エブリン Evelynl 
イングリッシュ・ローズ(作出1991年)  ロゼット咲き/強香(フルーツ香)/樹高1.5m・樹幅1.0m
エブリン Evelynl 
イングリッシュ・ローズ(作出1991年)  ロゼット咲き/強香(フルーツ香)/樹高1.5m・樹幅1.0m

 

ジュード ジ オブスキュア

ガーデンでは少し遅咲きで、ほかの早咲き品種が終わりかけの頃に、甘い香りと美しいカップ咲きの花が存在感を出す品種です。ただし香りの強いカップ咲き特有の弱点で、雨が多いと開かないこともあります。
香りは、白ワインを思わせるフルーティーさ。早朝の作業前に、香りを嗅いでから仕事を始めたくなるくらい魅力的です。フラワーマルシェの際にバラ苗の販売も行ないましたが、このバラの香りに惹かれて購入した方もいらっしゃいました。

ジュード ジ オブスキュア Jude the Obscure
イングリッシュローズ(作出1995年) カップ咲き/強香(フルーツ香)/樹高1.2m/樹幅1.0m
ジュード ジ オブスキュア Jude the Obscure
イングリッシュローズ(作出1995年) カップ咲き/強香(フルーツ香)/樹高1.2m/樹幅1.0m

 

ジュビリー セレブレーション

ローズガーデン内で、最も美しいバラと言っても過言ではない「ジュビリー セレブレーション」。エリザベス女王即位50周年を記念して2002年に作出されました。「花弁は何枚あるの?」と数えたくなるくらい多弁で、大輪のロゼッタ咲きはうつむき加減に開花して、香りもラズベリーを感じさせる強いフルーツ香です。また、病気で困ったことがないくらい強健で、育てやすい品種です。
2012年の即位60周年はピンクのカップ咲き「ロイヤル ジュビリー」が作出され、こちらもガーデン内に植えられています。そして2022年の新品種でその名も「エリザベス」が発売されました。ローズガーデンに仲間入りするかは検討中…。

ジュビリー セレブレーション Jubilee Celebration
イングリッシュローズ(作出2002年) ロゼット咲き/強香(フルーツ香)/樹高1.3m/樹幅1.3m
ジュビリー セレブレーション Jubilee Celebration
イングリッシュローズ(作出2002年) ロゼット咲き/強香(フルーツ香)/樹高1.3m/樹幅1.3m

 

レディ エマ ハミルトン

少し遅咲きですが、一度開花を始めるとシーズン中は絶え間なく花を付けてくれます。病害虫にとても強くコンパクトに育てられるので、初心者の方にもおすすめができるバラの一つになります。イングリッシュローズは花首がしなやかで、うつむき気味に咲く品種が多いのですが、このバラはオレンジ色のカップ咲きの花が上向きに咲き、銅色の葉とのコントラストがとても美しいです。香りもとてもよく、洋ナシのようなフルーツの香りは、花瓶に挿して香りを楽しんでいたくなります。
【名前の由来】イギリスの英雄、ネルソン提督の恋人の名前だそうです。

レディ エマ ハミルトン Lady Emma Hamilton
イングリッシュローズ(作出2005年) カップ咲き/強香(フルーツ香)/樹高1.2m/樹幅1.0m
レディ エマ ハミルトン Lady Emma Hamilton
イングリッシュローズ(作出2005年) カップ咲き/強香(フルーツ香)/樹高1.2m/樹幅1.0m

 

グラハム トーマス

イングリッシュローズの中で、最も有名な品種ではないでしょうか。2009年「バラの殿堂入り」もした銘花。つるバラとしても育てられますが、ローズガーデンではブッシュ仕立てで育てています。深い黄色のカップ咲きは、咲き始めの濃い黄色から咲き終わりのレモン色に変化する花色も美しく感じます。香りは、ティー香にスミレの香りが混じると言われます。
名前のグラハム・トーマス氏は、大輪のモダンローズが全盛の頃、忘れられていくオールドローズを後世に残そうと尽力しました。イングリッシュローズの生みの親デービット・オースチン氏にアドバイスをした人物で、このバラをグラハム・トーマス氏本人が選んだそうです。

グラハム トーマス Graham Thomas
イングリッシュローズ(作出1983年) カップ咲き/強香(ティー香)/樹高1.4m/樹幅1.0m
グラハム トーマス Graham Thomas
イングリッシュローズ(作出1983年) カップ咲き/強香(ティー香)/樹高1.4m/樹幅1.0m

このほかにも「白い恋人パーク ローズガーデン」には、香りのよいバラがたくさんあります。ローズガーデンへ訪れた際には、ぜひバラの香りを楽しんで、お気に入りを見つけてください。

この記事を書いた人

田川昌広

2007年に石屋製菓入社。それまでは植物に興味がなかったが、入社を機に植物を手がけることに目覚める。「白い恋人パーク」のローズガーデンを含め、園内のすべてのバラを担当する。イングリッシュローズをメインに管理を行ない、バラの魅力を広めている。

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