はなふる “7つのガーデン” ~「プレイグラウンド」

 
●プレイグラウンド
The Playground

ガーデンデザイン:新谷みどりさん、笹川慎太郎さん(十勝千年の森)

自然の中の日常を楽しむ
~私たちの日常は植物と共にある

ガーデンのデザイン・植栽を手がけた、「十勝千年の森」の新谷みどりさん(左)と笹川慎太郎さん(右)
ガーデンのデザイン・植栽を手がけた、「十勝千年の森」の新谷みどりさん(左)と笹川慎太郎さん(右)

急勾配な地形であり、水辺のある場所につくられたガーデン「プレイグラウンド」。その名の通り“遊び場”をイメージしたガーデンデザインが特徴です。
ここを手がけた新谷みどりさんは造園前、もともと恵庭市民の「憩いの場」であったこのエリアを視察に訪れた際、子どもたちが縦横無尽に駆け回ってる姿を見て、「市民の日常に溶け込んだ“憩い”の雰囲気を絶対残したい」と思ったそうです。ここにガーデンをつくるなら、この地形やもともと生えている植物にふさわしいガーデンにしようと考えました。

 

地域の方々がお散歩したり、子どもたちが駆け回って遊んだり、日常に溶け込んだ場所
地域の方々がお散歩したり、子どもたちが駆け回って遊んだり、日常に溶け込んだ場所
勾配のある地形を生かした水の流れが、ガーデンの中に曲線を描きながら池まで続く
勾配のある地形を生かした水の流れが、ガーデンの中に曲線を描きながら池まで続く

ガーデンは大きく分けて、「草原のエリア:グラスランド)」「森のエリア:ウッドランド」「水辺のエリア:ストリーム」となっています。
グラスランドは小さな丘になっており、斜面に連なるようにデシャンプシアなど軽めの印象のグラスを植栽しています。どの時々の光の受け方や風の当たり方で、季節ごとにその表情が変化するのも魅力です。

丘の傾斜にグラス類のデシャンプシアを植栽。成長すると美しい穂を立て、流れるように連なって風に揺れる景色を楽しめる
丘の傾斜にグラス類のデシャンプシアを植栽。成長すると美しい穂を立て、流れるように連なって風に揺れる景色を楽しめる

ウッドランドには、もともと樹齢約20年以上のシラカバが数本生えていました。シラカバが成長の早い木であったこともあり、その環境を変えず約25本のシラカバの苗木を植えました。すべての木が生長したら立派なシラカバ林となり、リラクゼーションの場としても喜ばれる場所になる予定です。

シラカバの木が成長したら、足元の植栽とシラカバの緑に囲まれる心地よい空間に
シラカバの木が成長したら、足元の植栽とシラカバの緑に囲まれる心地よい空間に

ストリームは、水路や池のあるエリア。水辺はそのまま生かし、さらに自然のイメージに近づけるため、あえて植物や花で埋め尽くさないようにしたり、野趣味のある石を据えたりしています。石は不揃いなものを選び、無造作にかつ人が乗っても安全なように配置することで、野山で過ごしているような雰囲気を演出しています。また、池の周りの雑草さえも抜かずにガーデンの一部に取り入れているという点も、「プレイグランド」ならではの独特の試みです。

ガーデンの中を流れる水路。水音や日差しを受けて輝く様子も心地よい
ガーデンの中を流れる水路。水音や日差しを受けて輝く様子も心地よい
風にそよぐ植物や木々の緑、野趣味あふれる石など、野山で過ごしているような雰囲気を感じらる
風にそよぐ植物や木々の緑、野趣味あふれる石など、野山で過ごしているような雰囲気を感じらる

あえて“作り込む”ことよりも、すでにある水辺や石、雑草までもを生かし、それらに合う植物を足す、という視点でつくり上げています。
「庭を楽しむというよりも、来る人それぞれに思い思いの癒しの時間を過ごしてほしい」と新谷さん。ここにしかない「プレイグラウンド」の野趣あふれる雰囲気の中で、ぜひ“癒しの時間”を過ごしてみてください。

ガーデンを維持する作業風景

「ガーデンフェスタ北海道2022」の開催前、たくさんのスタッフが関わって手入れや準備が行なわれていました。イベントがスタートし、夏に向けて植物も大きく成長して、より美しい風景が広がります。

6月、イベント開催前のガーデンの作業風景。スタッフの皆さんが集まり、新谷さん、笹川さんと共に植栽の調整や手入れが施された
6月、イベント開催前のガーデンの作業風景。スタッフの皆さんが集まり、新谷さん、笹川さんと共に植栽の調整や手入れが施された

Profile

新谷 みどりさん
南九州大学園芸学部造園学科卒業。日本とスウェーデンで就業後、2008年から「十勝千年の森」のヘッドガーデナーに従事。「十勝千年の森」の庭づくりを伝えるため、講演・執筆活動などを行なっている。
新谷 みどりさん
南九州大学園芸学部造園学科卒業。日本とスウェーデンで就業後、2008年から「十勝千年の森」のヘッドガーデナーに従事。「十勝千年の森」の庭づくりを伝えるため、講演・執筆活動などを行なっている。
笹川 慎太郎さん
法政大学工学部建築家卒業後、東京都内の花屋に勤務。2015年に「十勝千年の森」と出会い、北海道に移住。「十勝千年の森」での就業を経て、2019年より同園のアシスタントヘッドガーデナーとして従事する。
笹川 慎太郎さん
法政大学工学部建築家卒業後、東京都内の花屋に勤務。2015年に「十勝千年の森」と出会い、北海道に移住。「十勝千年の森」での就業を経て、2019年より同園のアシスタントヘッドガーデナーとして従事する。

【実績・受賞歴】2012年「SGD Award 2012」大賞 国際賞 2015年「日本芝生文化大賞」大賞 2017年「土木学会デザイン賞」最優秀賞

 

この記事を書いた人

niwacul編集部

niwacul編集部

北海道のガーデニング&カルチャーWEBマガジン「niwacul(ニワカル)」編集部。ていねいな暮らしを楽しむガーデナーによる、北海道の生活情報発信メディアです。

書いた記事を見る

\ このページをイイネする /

7

※会員ログイン後はお気に入り登録されます。

  • TOP
  • COLUMN
  • はなふる “7つのガーデン” ~「プレイグラウンド」