第8回

北海道の花育て【8月】―芝生のこと。夏の芝庭で目につく雑草の処理

北海道でのバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理を専門家が伝授。ここでは「芝生」についてお伝えしていきます。

教えてくれる人

赤石 恵一さん
造園店「エルガーデン」代表。個人の庭から、公共の緑地帯の緑地帯の維持管理・工事まで行なう。

赤石 恵一さん(エルガーデン)
赤石 恵一さん(エルガーデン)

芝生の雑草対策! 主な雑草の種類と対処

8月は北海道でも最も気温が高くなる「盛夏」の季節。北海道の庭で使用される寒地型の芝生は暑さに弱いため、散水作業はもちろんのこと、芝生の劣化が原因でいろいろな雑草も出てきてしまうので、そちらへの注意も怠らないことが重要です。

 

芝庭を楽しんでいる方にとって、雑草対策は永遠のテーマだと思います。「芝生をきれいに張ったので、一つの雑草も許せない!」と言う人もいるようですが、敵(雑草)を知ることも大事です。
雑草といっても種類は多く、その生育もさまざま。花を咲かせてその後タネを飛ばし、子孫を増やそうとするタイプや、地下茎で伸び、広い面積に群生して覆うように増えるタイプなどもあり、対応もそれぞれに合った処理が必要となります。今回は、代表的な雑草の処理法を参考までにご紹介したいと思います!

雑草の種類と対処法を知っておこう

タンポポ… 春に飛んで来たタネが芝生内に入り込み、発芽しやすい雑草です。葉がロゼット状に展開するため芝を刈り込んでも残ってしまうので、薬剤を使わないのであれば除草ホークなど先の尖った器具を使って根ごと抜き取ります。根はゴボウのような直根性。一気にスポンと抜くイメージです。根が切れて残れば、また復活して出て来るので要注意です。
もう一つのコツは、花を咲かせる前や開花を見つけたらすぐに処理することが大事です。花の後にできる綿毛がタネなので、飛んでいってしまう前に切除してください。

タンポポ。刈り取ってもすぐに再び、成長する生命力がある
タンポポ。刈り取ってもすぐに再び、成長する生命力がある
コオリンタンポポ。近年、北海道で増えているタンポポに似た花を咲かせるキク科の植物
コオリンタンポポ。近年、北海道で増えているタンポポに似た花を咲かせるキク科の植物

 

チドメグサ… ジメジメと湿った場所を好み、丸い葉がゼニゴケのように見える雑草です。夏以降にマット状に広がり、翌年も同じ場所で生育していきます。芝に入り込むと取りづらく、変な匂いもあります。広がると厄介な雑草ですので、見つけ次第早めに取り除くなどの処理が大切です。

スズメノカタビラ(ほかイネ科の雑草)… 芝生と同じイネ科で対応する薬剤も少ないため、除草ホークなど先の尖った器具を使って、抜いてしまう対処が一般的です。もし薬剤散布を行なう場合は適切な対応が求められます。なかなか見分けがつきにくいのですが、葉色の違いなどで見分けることができれば、大株になる前に抜き取って処理します。

スズメノカタビラ。西洋芝と同じイネ科の雑草。ランナーで増えはしないが、大きな株立ちとなるので見つけたら即除去を行なう
スズメノカタビラ。西洋芝と同じイネ科の雑草。ランナーで増えはしないが、大きな株立ちとなるので見つけたら即除去を行なう

 

クローバ… 広葉雑草は適用の薬剤もありますが、使いたくなければやはり手で抜くしかありません。クローバはランナーが伸びて広範囲に繁殖しますので、初期の段階で処理する必要があります。

クローバ(シロツメクサ)。ほふく茎で増えるので、見つけたら早めに除去する
クローバ(シロツメクサ)。ほふく茎で増えるので、見つけたら早めに除去する

 

カタバミ… 見た目は葉がハート形でクローバに似ていますが、小さな黄色い花を咲かせ、旺盛な繁殖能力があります。上部のランナーを伸ばして繁殖するのですが、タネがパチンと跳ねて飛び散るので、その前に処理が必要です。

余談ですが、生育旺盛なので「家が絶えない」という意味合いで家紋に多く使われている植物です。

カタバミ。タネが飛ぶ前にしっかり根元から除去する
カタバミ。タネが飛ぶ前にしっかり根元から除去する

なかなか庭に出ることが叶わず、気がついた時にはカタバミやクローバで覆われていた…という場合は、適用の薬剤を使用することもあるでしょう。その場合は適切な容量を守り、近隣のお宅にも配慮が必要となります。また、広葉雑草対応の薬剤とはいえ、除去するのは同じ植物ですので、芝自体も弱る場合があることを念頭に置いて使ってください。

 

芝生自体を健康に育てて葉先も密な状態を保てば、いろいろな雑草のタネも入り込む余地がなくなります。刈高は2.5~3cm程度にして、刈り込み回数も多めにすることが一番の雑草対策となります。

青々とした密な芝生を維持することで、雑草も入り込みにくくなる。シーズンを通した必要な管理や、夏場の芝刈りや散水など日々の手入れを心がけること
青々とした密な芝生を維持することで、雑草も入り込みにくくなる。シーズンを通した必要な管理や、夏場の芝刈りや散水など日々の手入れを心がけること

この記事を書いた人

赤石 恵一

赤石 恵一

恵庭市にある造園店「エルガーデン」代表。公共の緑地来の維持管理・工事をはじめ、個人の庭の設計・施工などのも行なう。芝庭・バラの庭を得意とする。ご自宅の庭では、バラの庭づくりを長年楽しんでいる。

書いた記事を見る

\ このページをイイネする /

6

※会員ログイン後はお気に入り登録されます。

連載記事

    • TOP
    • COLUMN
    • 北海道の花育て【8月】―芝生のこと。夏の芝庭で目につく雑草の処理