第27回

夏本番を迎えるニセコ「ヴィラ ルピシア」のガーデンから

ニセコにある「ヴィラ ルピシア」のガーデンから、今シーズの植栽と夏の花風景をお伝え。 …香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。「風葉香(ふうか)」は、風で葉っぱが揺れ香るハーブのことをイメージして。

プロフィール

かりの あさの

ハーブ研究家、ハーブ講座講師。ハーブのある暮らしの魅力を多方面から発信。

 

 

夏本番となってきました。春~初夏の花たちから主役が次々と交代していく様子は毎日見ていても飽きませんね。

今回は、お仕事をさせていただいている、ニセコにある「ヴィラ ルピシア」のガーデンをご紹介します。

ニセコにある「ヴィラ ルピシア」レストランの入り口の様子(7月下旬)
ニセコにある「ヴィラ ルピシア」レストランの入り口の様子(7月下旬)

6月はじめに、たくさんのボランティアの皆さんとスタッフと一緒に、約1,500株の苗を植栽しました。当日は雨が降る時間もある中、皆さんでテキパキと植え込みを行ない、2時間ほどですべての植栽を終わらせることができました。

 

「ホーラー」という道具3台が大活躍したのですが、本来はスコップで穴を掘って苗を植える作業を、この道具を使うと立ったままで行なえるので作業効率がとてもよく、手首・膝や腰の負担が減る優れものです。
数百単位以上の苗を植える時にはあると大変便利な道具で、いろいろな現場で重宝しています。使用にあたっては用土がやわらかいことが条件になるので、しっかりと耕し土づくりを行なった花壇や畑などの現場で本領発揮です!

ホーラーに花苗をセットして、土に押し込むようにして植栽する
ホーラーに花苗をセットして、土に押し込むようにして植栽する

ヴィラ ルピシアの植栽エリアは数カ所あり、レストランの入り口エリアと、テラス席側にあるラクダのオブジェエリア、駐車場のボーダーガーデン、ブティック側の寄せ植えエリアなどです。
テーマは毎年、ここを訪れる来客の皆さんが喜んでくれるような「お花畑」。数年かけて宿根草も増やしていますが、色とりどりの一年草の花をメインに、毎年人気の高い三尺バーベナやジニアがベースです。初夏まではアグロステンマやヤグルマギクも咲くように、また今年は白系の花で夜も目立つように、アークトチスもかなりの数の苗を加えました。そのほかスーパーサルビアや、シェフからのリクエストでエディブルフラワーとして使える花も植え込み、レストランでも使っていただいています。

レストランの入り口エリア。宿根草の合間にバランスよく一年草を植え込む
レストランの入り口エリア。宿根草の合間にバランスよく一年草を植え込む
植え付け後の様子。「きれいな花を咲かせてね」という思いを込めて
植え付け後の様子。「きれいな花を咲かせてね」という思いを込めて

植栽後はウッドチップを表土に敷き詰めます。美観を保つほか地面の乾燥防止にも役立つので、水やりの負担を減らすことができて一石二鳥です。
植え付けに参加された皆さんはその後のメンテナンスにも度々いらっしゃってくれて、日々のスタッフのメンテナンスも含めてたくさんのお世話と愛情のおかげで、とてもきれいに育っています。

7月末、レストランの入り口エリアは、スッと伸びた三尺バーベナやアークトチスなどの花々も咲いて華やかな装いに
7月末、レストランの入り口エリアは、スッと伸びた三尺バーベナやアークトチスなどの花々も咲いて華やかな装いに
寄せ植えもボリュームいっぱい
寄せ植えもボリュームいっぱい

また、駐車場のボーダーガーデンは苗数が一番多いエリア。車が停まるとその陰になってしまうので、基本的には背丈のある植物をわさわさと植えてあり、ボリューム感も満載です。

駐車場のボーダーガーデン。植栽時の様子
駐車場のボーダーガーデン。植栽時の様子

ボランティアの皆さんが植栽する前には、宿根草をいったん掘り上げて客土も行ないました。思い切って粘土質土壌からの脱却です。かなりの重労働でしたが、スタッフがとても頑張ってくれました。
掘り上げ作業の当日はカンカン照りで花苗の状態にも気を配りながら、大きなビニール袋に水を張り、液体活性剤を入れてドブ漬け状態にしたことや、再度植え込みを行なった日は夕方から強い雨が続いたことで、150株近いアルケミラ モリス、チャイブ、キャットミントやホスタ、ラムズイヤー、アナベルは枯れこむことなく定着して、初夏のパステルカラーに貢献してくれました。

客土を行なった後のボーダーガーデンに再度植え付け
客土を行なった後のボーダーガーデンに再度植え付け
初夏にはきれいなパステルカラーのボーダーに
初夏にはきれいなパステルカラーのボーダーに

7月下旬、三尺バーベナが「三尺」を超す勢い。ジニアやアークトチスは咲きながら花の姿を変化させています。こぼれダネで増えたバーベナ バンプトンは移植も行なって、花色が夏らしくなってきています。

7月下旬、駐車場のボーダーガーデン。背の高い植栽がグングンと成長
7月下旬、駐車場のボーダーガーデン。背の高い植栽がグングンと成長
7月末(上の写真の1週間後)には、さらにボリュームを増して華やかに咲く
7月末(上の写真の1週間後)には、さらにボリュームを増して華やかに咲く

ラクダのオブジェエリアは、看板の足元、円形花壇やボーダー花壇があり、宿根草もしっかりと育ってくれているので、バランスよく背丈のある一年草を追加しました。オブジェをぐるりと囲むように、昨年植えたアナベルに加えてナスタチウムとシロタエギクを配置。除草作業を減らす目的と美観のために、防草シートの上にウッドチップを敷きました。しかしながら、スギナの生命力恐るべし…。ニョキっと顔を出していました(汗)。
ナスタチウムは赤とクリームイエローの花色をチョイスし、アナベルやシロタエギクの白系の引き締め役に。シロタエギクは、レストラン店内のクリスマスディスプレイで制作するリースに使う予定です。

植え付け作業時の様子
植え付け作業時の様子
アナベルは昨年植えたもの。そこにナスタチウムとシロタエギクを追加
アナベルは昨年植えたもの。そこにナスタチウムとシロタエギクを追加
7月末、ラクダのオブジェを囲むように西洋アジサイ‛アナベル’が咲き、足元にはナスタチウムの鮮やかな彩りも
7月末、ラクダのオブジェを囲むように西洋アジサイ‛アナベル’が咲き、足元にはナスタチウムの鮮やかな彩りも

お茶やクラフトビール、デリやスィーツの販売をしているブティック棟エリアには、10基ほどの寄せ植えコンテナがあります。春先はチューリップとビオラでしたが、7月に入る頃にスタッフとボランティアの皆さんとすべて植え替えをしました。この日も雨でしたが…。結果的には植え込み後に雨が降り、植物にはベストタイミング! 順調に成長しています。

夏の花に植え替え、さまざまな寄せ植えの演出も楽しめる
夏の花に植え替え、さまざまな寄せ植えの演出も楽しめる

週に1度のペースでヴィラ ルピシア、ビール工場ガーデン、圃場エリアなどの様子の確認にニセコに行っています。訪れる度にさらに成長していて、生命力の強さに圧倒されます。
「きれいだね、可愛いね」「背が伸びたね、頑張っているのね」「いつも楽しませてくれて、ありがとう」と何度も植物に触れて声をかけています。

 

7~8月は成長も著しく次々と花も咲き変わっていくので、いつ訪れても違った雰囲気を楽しめると思います。ニセコを訪れた際には「ヴィラ ルピシア」にも、ぜひ立ち寄ってみてください。記念撮影にぴったりのフォーカルポイントも、あちらこちらにありますよ。

ヴィラ ルピシアのレストランやブティックへぜひ立ち寄りを。夏のガーデンや寄せ植えの演出など、多彩な花の姿を楽しんで!
ヴィラ ルピシアのレストランやブティックへぜひ立ち寄りを。夏のガーデンや寄せ植えの演出など、多彩な花の姿を楽しんで!

この記事を書いた人

かりの あさの

かりの あさの

herbarist・ハーブ研究家。ハーブやアロマの指導員などの資格を有し、30年以上植物と向き合い得た知識・経験をもとに、企業のアンバサダーや商品開発に携わる。また、さまざまな講座開催や公共の場での「みどりのまちづくり」のサポートなど、幅広く「ハーブのある暮らしの魅力」を伝えている。かりの あさのHP「ハーブまるごと生活」では、ハーブ&アロマのトータル情報をお届け。Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「かりのハーブ」も。

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