
北海道の花育て【2月】―樹木・花木のこと。これから家を建てるなら庭も同時進行で
森 正浩
北海道でのバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理を専門家が伝授。ここでは、「樹木・果樹」についてお伝えします。
森 正浩さん
樹木専門「森さんの所」代表。樹木の販売をメインに、植栽、剪定や冬囲いなどの管理業務を行なう。
今シーズンは天気が不安定な日が多いことで、病害虫の発生も増えています。湿度の高い日が多くなると、うどんこ病やスス病などの病気、またケムシやコガネムシなどの害虫の被害も目立ってきます。病気には殺菌剤、害虫には殺虫剤で対処しますが、毎年同じ薬剤を使っていると免疫がついて効きが悪くなることがあるので、数種類の薬剤を数年おきに変えることが望ましいです。
また、樹木の中に入り込んでしまうテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)やキクイムシ(ゾウムシなどの幼虫)は、気づくのが遅れると木が枯れてしまうこともあるので要注意。「株立ち樹形の幹の1本、または数本だけ葉の色が変わってきた」「今まできれいな葉色だったのに、数本の枝の葉が急に紅葉したように赤くなってきた」などの際には、幹や枝をしっかり観察して、木くずが出ていないか確認してみてください。テッポウムシは比較的低い位置に、キクイムシは枝の付け根などに入ることが多いです。
テッポウムシは目で分かるくらいの大きさの1cm前後の穴をあけますが、キクイムシの穴は小さく針で刺したくらいの大きさで、見つけるのは困難なのですが、意外と近い所に集まっていることが多いのと、どちらも木くずのようなもの(針葉樹はヤニ)が出ているので、それを目安に探すと見つけやすいです。
穴を見つけたら、オイル差しなど先の細い物で穴に殺虫剤を入れたり、市販の細いノズル付きのキクイムシ用殺虫剤を穴に噴射し、その後癒合剤(ゆごうざい)や粘土などでフタをして殺虫します。
コニファーの先枯れ、コンコロールモミやトドマツの枝枯れもキクイムシが原因でなることがあります。その場合、枝の付け根に入り込むことが多いので、葉色が変わってきた枝の付け根を観察すると、被害にあっている箇所を見つけることができるかもしれません。
最近ではキクイムシの被害も増えているので、葉の色がいつもと違うと思ったら、できるだけ早く対処してあげることで枝枯れや立ち枯れを防ぐことも可能になります。
また、ツリバナやマユミはこれから付けるきれいな実にカメムシが大きな被害を与え、せっかくの楽しみを奪われてしまうこともあるので、見つけ次第対処して被害を最小限に減らすようにします。
カミキリムシやキクイムシ、そのほかの病害虫も、樹勢が弱っている時や環境が合わない場合に被害が出やすいので、健全に育つ環境づくりや施肥などで健康な状態を保っていくことが最大の病害虫防除となります。
長年、造園会社に勤め、主に圃場にて樹木の管理・栽培、造園時の樹木の選定などを担当。2019年秋から樹木専門「森さんの所」開業、代表。樹木の販売をメインに、植栽、剪定や冬囲いなどの管理業務を行なう。現在、娘さんが同社で修行中。
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