第9回

北海道の花育て【9月】―芝生のこと。芝生の被害と傷んだ芝の張り替え

北海道でのバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理を専門家が伝授。ここでは「芝生」についてお伝えしていきます。

教えてくれる人

赤石 恵一さん
造園店「エルガーデン」代表。個人の庭から、公共の緑地帯の緑地帯の維持管理・工事まで行なう。

赤石 恵一さん(エルガーデン)
赤石 恵一さん(エルガーデン)

芝生が傷む要因――
高温多湿、カラスの被害や芝下に潜む幼虫に注意を!

9月は残暑も気になるところではありますが、気温や芝生の地温も少しずつ下がっていき、身体を動かすにも涼しく最適な時期になりますね。
この時期は、「夏に高温多湿が続いたため、芝を傷めてしまった」との問い合わせが必ずあります。もともと北海道の庭で使用されている多くが「寒地型」の西洋芝生「ケンタッキーブルーグラス」という種類なので、極端な暑さにはやはり注意が必要です。9月に入ってもまだまだメリハリのある散水作業は行なわなければなりません。

また、近年秋ごろになると、「傷んだ芝生の上にカラスがやって来て、芝をボロボロにしてしまう」といった事例が多く聞かれます。原因として考えられるのは、暑さで傷んでしまった芝生は、カラスが芝をくちばしで突っつきやすいことと、芝下に潜むコガネムシの幼虫か、蛾(ガ)の幼虫が多く発生していることが予想されます。この幼虫が根を食害し芝生を傷めるため、カラスが芝をめくりやすい状態となり、さらに芝をくちばしでボロボロにしながら幼虫を狙う…といった悪循環が繰り返されているようです。

コガネムシの幼虫
コガネムシの幼虫

もし庭でカラスが芝をめくるような動作を見ましたら、傷んだ個所を確認してください。そしてもしコガネムシや蛾の幼虫を見つけた場合は、適応の殺虫剤散布が必要となるでしょう。

傷んだ芝生の復旧の方法

傷んだ芝生の復旧は、大きな面積でなければ市販の芝ロールを求めて、傷んだ個所のサイズに合わせてカットし張り替えするのが秋には適しています。芝のタネを播種する方法もありますが、日中の気温が15℃を下回る季節になりますとなかなか発芽しませんし、ケンタッキーブルーグラスの種子自体が発芽に時間を要することを念頭においておく必要があります。

 

●タネをまいて復旧

芝生が剥げてしまった部分に、芝のタネを播種して復旧。多めにタネをまいても大丈夫です。

剥げた部分にタネをまく
剥げた部分にタネをまく

 

●張り替えて復旧

市販のロール芝を求めて、芝を張り替え(張り直し)するのが秋には適しています。芝を張ったら、寒くなる(冬になる)前にしっかりと発根、土と活着させるようにします。

張り芝や補修に使うロール芝。幅は30cmであることを覚えておこう。カットして使ったり、張り替えを行なう
張り芝や補修に使うロール芝。幅は30cmであることを覚えておこう。カットして使ったり、張り替えを行なう
傷んだ箇所の芝生をいったん撤去。新規の芝生の張り替えや、排水の悪い場所なども同様の方法で行なえる
傷んだ箇所の芝生をいったん撤去。新規の芝生の張り替えや、排水の悪い場所なども同様の方法で行なえる
目詰まりしている土壌などもついでに改良を。土壌をほぐして、平らに均す
目詰まりしている土壌などもついでに改良を。土壌をほぐして、平らに均す
新規の芝に張り替え、土と芝生が活着するように上から転圧する
新規の芝に張り替え、土と芝生が活着するように上から転圧する

なお、庭全体に芝生を張り替えた場合は、冬が来て地面が凍る前に、張った芝生をできる限り発根させてください。発根せずに地面(土壌面)と根(芝)が離れた状態で冬を迎えますと、芝生の生育が不利になります。

 

芝張りを行なった際の管理は、乾燥に留意して適切な水管理をし、発根を促しましょう。ただし、水を必要以上に与え過ぎると発根が遅れますので、散水は乾いたらたっぷり与えるなどのメリハリが大事になります!

芝のある庭での暮らしは、グリーンに包まれて穏やかで、安らぎを感じる。写真は、我が家の庭
芝のある庭での暮らしは、グリーンに包まれて穏やかで、安らぎを感じる。写真は、我が家の庭

この記事を書いた人

赤石 恵一

赤石 恵一

恵庭市にある造園店「エルガーデン」代表。公共の緑地来の維持管理・工事をはじめ、個人の庭の設計・施工などのも行なう。芝庭・バラの庭を得意とする。ご自宅の庭では、バラの庭づくりを長年楽しんでいる。

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