第30回

今シーズンも進行中! ニセコ・ルピシアの「ビール工場ガーデン」が少しずつ庭らしい花風景に

今回は、ニセコ・ルピシアの「ビール工場ガーデン」の様子をご紹介。 …香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。「風葉香(ふうか)」は、風で葉っぱが揺れ香るハーブのことをイメージして。

プロフィール

かりの あさの

ハーブ研究家、ハーブ講座講師。ハーブのある暮らしの魅力を多方面から発信。

 

 

これからの北海道の季節は、一雨ごとに秋の涼しさ、空気を感じるようになっていきますね。週に1度のペースで、私が関わっているニセコの各ガーデンエリアを回っているのですが、道中に見る中山峠の山々の景色にも黄色が増えてきて、窓から流れ入る風もひんやり感が増してきました。

 

今回は、ニセコにあるルピシアの「ビール工場ガーデン」の様子をご紹介したいと思います。

今年5月上旬のビール工場ガーデンの風景
今年5月上旬のビール工場ガーデンの風景
春の季節は、春咲きの宿根草や小さなカラーリーフと、彩り豊かなチューリップの球根花などから始まる
春の季節は、春咲きの宿根草や小さなカラーリーフと、彩り豊かなチューリップの球根花などから始まる

写真は、秋植えをして2回目の春を迎えた様子。ニセコの中でも積雪量が多く、気温が低いエリアにあるルピシアのビール工場前のガーデンです。宿根草が芽吹くのもここでは少し時期が遅め。宿根草の小さな芽が出始めてくるのと同じ頃、チューリップがまずは咲き出します。

雪が解けてから最初に咲くチューリップは、長い冬を終えて春を迎えるスイッチのようですね。掘り起こさず植えっぱなしでしたが、ほとんどがちゃんと出てきてくれました。

花々の背景となる建物の外壁が目立つ色みなので、ガーデンの花色は淡いものを多く取り入れています。

ビーエル工場ガーデンは、ローメンテナンスを優先しながら、シーズンを通して花が途切れることのないガーデンを目標にしています。雑草の多い時期の草取り以外は、週1くらいで花がら摘みや芯止めをする程度に留め、宿根草をメインとしているので水やりも自然の雨にまかせ、今シーズンは一度も行なわずに済んでいます。

草取りを連日行ない、ようやくきれいに
草取りを連日行ない、ようやくきれいに

昨年の秋にスタッフやボランティアの皆さんとかなり除草したのですが、6月に入る頃には、ビール工場を訪ねる度に増殖する草たちにがっくりしながら、とにかく除草を続けました。スタッフの皆さんにも連日作業の協力をいただいて、バーク堆肥を撒(ま)ける状態になるまで結構時間がかかってしまいました。

何とかここまでこぎ着けましたが、もともとガーデンに向いている土壌ではなかったため、今後も数年かけて土壌改良を続ける必要がありそうです。…とにかく雪の重さで土が締まっていくのには驚いています。

7月~8月になるとエキナセアが主役に!
7月~8月になるとエキナセアが主役に!

夏の暑さを感じ頃になるとエキナセアが次々と咲き出して、ガーデンの主役になります。このガーデンには、さまざまな花色のエキナセアの品種を植えています。
我が家の庭では何故か大きく育たないエキナセアも、ここでは年々株が充実して見応えバツグン! 雰囲気の異なるサークルを作って演出しています。
例えば、ピンク色のエキナセアとホスタ(ギボウシ)の花の組み合わせや、ヤロウなど可愛らしい雰囲気のエリア。夏らしく元気な印象を与えるオレンジ系のエキナセアと、リアトリスや銅葉のリグラリア、細いグラスのミスカンサス‛モーニングライト’をあしらって大人っぽい感じになど、それぞれ好みの違う方々がご覧になっても「このエリアが好きだな…」と感じてもらえたら嬉しいです。

白花とピンクの花のエキナセアをヤロウやリアトリス、アナベルと合わせて可愛らしく
白花とピンクの花のエキナセアをヤロウやリアトリス、アナベルと合わせて可愛らしく
オレンジ系のエキナセアとアガパンサスなどの組み合わせ
オレンジ系のエキナセアとアガパンサスなどの組み合わせ
細いグラスのミスカンサス‛モーニングライト’を合わせると、涼やかな夏らしさも
細いグラスのミスカンサス‛モーニングライト’を合わせると、涼やかな夏らしさも

花の形や色、背丈、開花時期、配置など無限の組み合わせがあます。ガーデニングは「一つの植物」を植え育てるのではなく、「植物の複合体」でどのように見せるのかが醍醐味。

プランニングやメンテナンスをしながら、イメージ以上によく仕上がっていることもあれば、「違う組み合わせの方がよかったかな?」と思う時もあります。育った様子を想像しながら小さな苗を植栽するのは、楽しいことでもあり、難しいことでもありますね。

 

庭づくりのお仕事に関わる度に、毎回「もっと勉強しよう」「経験を積もう」「ハーブを違和感なく取り入れている、海外のガーデンももっと知りたい」という思いが強くなります。

見て、感じたものを自分のなかで消化し、自分らしいデザインに変化させて形にしていくことが、とても大事。これはお料理や洋服などにも共通するところがありますね。

ルドベキアとロシアンセージ。夏らしい元気な印象の黄花と、さわやかなブルーの花の融合
ルドベキアとロシアンセージ。夏らしい元気な印象の黄花と、さわやかなブルーの花の融合
ヘレニウム。赤系の花は取り入れることが少なかったけれど、くすんだ色みの赤い花に惹かれ、使う頻度を高めた花の一つ
ヘレニウム。赤系の花は取り入れることが少なかったけれど、くすんだ色みの赤い花に惹かれ、使う頻度を高めた花の一つ
アニスヒソップとアナベル、リアトリスなど形の異なる花の組み合わせ
アニスヒソップとアナベル、リアトリスなど形の異なる花の組み合わせ

アニスヒソップは、ミントのような香りがするハーブ。蜜源植物の一つです。メンテナンスに行くと、蜜蜂(ミツバチ)が一生懸命にアニスヒソップから蜜を集めています。細く長い花穂のリアトリスと大きく丸い形状のアナベルなど、形の違うものを組み合わせる面白さもあります。

また、ここの土地は高低差があるので、のり面が急なエリアにはツルニチニチソウを植えて様子を見ることにしたのですが、昨年バーク堆肥を撒かなかったからなのか、傾斜の根付きに時間がかかったのか、植栽時のサイズからさほど変化がなく、土が見えていた部分にクローバーが蔓延ってしまい、今シーズンの一番の懸念材料となっていました。
根気強くスタッフやボランティアの皆さんと除草して、厚めにバーク堆肥をまいてから1カ月。あれよあれよと成長してついに土を覆って、緑色のカーペット状態になりました!

除草に時間がかかり、バーク堆肥を撒くのが6月にずれ込んだ
除草に時間がかかり、バーク堆肥を撒くのが6月にずれ込んだ
除草して堆肥を撒いた1カ月後。ツルニチニチソウがのり面をきれいに覆って一安心
除草して堆肥を撒いた1カ月後。ツルニチニチソウがのり面をきれいに覆って一安心

このビール工場前のガーデンが、いつか皆さんにお披露目できるときがきましたら、ぜひ足を運んでください。「ルピシア」のハーブティーに使われているハーブをいろいろ植栽していますので、ハーブティーの味わいと植物としてのハーブを両方楽しんでいただけたらと思います。

もちろん、ビール工場で造っているクラフトビールも楽しんでいただけたら、ですね(笑)。

この記事を書いた人

かりの あさの

かりの あさの

ハーブ研究家。(株)ルピシア グルマン顧問。ハーブを取り入れた植栽デザインや料理の提案、また、ハーブ講座の講師として活躍。日本園芸協会ハーブコーディネーター、JAISハーブ学習指導員、JEAJアロマテララピーアドバイザーほか。 自宅の庭で100種類以上のハーブの植栽、野菜栽培を楽しむ。かりのあさのHP「ハーブまるごと生活」では、ハーブ&アロマのトータル情報をお届け。Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「かりのハーブ」も。

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