第11回

北海道の花育て【11月】―芝生のこと。雪が降る前に芝生の越冬準備を!

北海道でのバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理を専門家が伝授。ここでは「芝生」についてお伝えしていきます。

教えてくれる人

赤石 恵一さん
造園店「エルガーデン」代表。個人の庭から、公共の緑地帯の緑地帯の維持管理・工事まで行なう。

赤石 恵一さん(エルガーデン)
赤石 恵一さん(エルガーデン)

雪が降る前に行なう雑草取り、芝生の肥料管理

11月に入りますと北海道の各所や道南でも雪虫(ゆきむし)が飛び出し、冬のタイヤ交換の準備も急がれる時期ですね。日中の最高気温が15℃以上に達しない日も多くなることと思いますが、芝生の生育もそれに伴い徐々に休眠状態へと向かいます。

本州で多く使われる暖地型芝生(コウライシバ、ノシバなど)は、気温が10℃以下になりますと地上部が枯れ出し、見た目には茶色く見えますが、翌春になれば気温の上昇とともに生育を始めて緑を取り戻すタイプの種類です。
それに対し、北海道では寒地型の芝生(ケンタッキーブルーグラスほか、西洋芝とも呼ばれます)が主に使われています。この種類は地温が下がっても緑を保ち、地上部は枯れないまま越冬します。とはいえ寒さの厳しい地域では少し葉先が白くなったり、茶色くなったりする場合もありますが、枯れているわけではありません。
この芝生の種類を踏まえて、北海道では西洋芝に準じた作業を行なってっください。

寒冷地型芝生。雪が降るまでは、青く健康な状態の芝を保ちたいもの
寒冷地型芝生。雪が降るまでは、青く健康な状態の芝を保ちたいもの

11月から雪が降る前にしておく芝管理ですが、生育が緩やかになってきますので、芝刈り作業は常にきれいに刈っている場合は数回にするか、もしくは伸びていなければ行なわなくてもよいかと思います。

雑草処理は特にスズメノカタビラやタンポポなど、草が小さい今の時期に手で抜き取っておくとよいです。小さいので目立ちませんが、雑草抜きをしておくと来春からの雑草の蔓延を防ぐことになり、作業がラクになります。広大な敷地でない限りは除草剤を使わずに、手作業でされることをおすすめします。

小さなタンポポなどの雑草も、雪が降る前に処理するのがおすすめ
小さなタンポポなどの雑草も、雪が降る前に処理するのがおすすめ

病気については、越冬まで肥料管理をしっかりと行なって体力をつけた状態でしたら、翌春の雪解け後の病気も少なくて済むと思います。
ただ、10月~11月にかけて芝の葉先が赤くなっている場合、「歩くと赤い粉が靴について困る…」という相談を受けることがありますが、「さび病」と言い、原因は刈り込み不足や肥料不足などが考えられます。病状が酷くない限りは枯れ死することはない病気ではありますが、さび病になったら、芝生の栄養不足だったのかな…、管理不足だったな…など、認識しておくとよいと思います。

北海道は広く、気温の変化も地域・場所によっても違いがありますが、雪が降って根雪になりますと管理作業も終了となります。根雪になる前に芝面を清潔にして、体力をつけた状態で越冬させてあげてください。

芝面を清潔に保ち、肥料管理で体力をつけさせて冬越しを
芝面を清潔に保ち、肥料管理で体力をつけさせて冬越しを

この記事を書いた人

赤石 恵一

赤石 恵一

恵庭市にある造園店「エルガーデン」代表。公共の緑地来の維持管理・工事をはじめ、個人の庭の設計・施工などのも行なう。芝庭・バラの庭を得意とする。ご自宅の庭では、バラの庭づくりを長年楽しんでいる。

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