第10回

北海道の花育て【11月】―樹木・果樹のこと。実用性と美観を兼ねた冬囲い

北海道でのバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理を専門家が伝授。ここでは、「樹木・果樹」についてお伝えします。

教えてくれる人

森 正浩さん
樹木専門「森さんの所」代表。樹木の販売をメインに、植栽、剪定や冬囲いなどの管理業務を行なう。

森 正浩さん(樹木専門 森さんの所)
森 正浩さん(樹木専門 森さんの所)

ワンランク上の冬囲いで冬の庭も美しく

冬囲いは、積雪のある北海道では大切な庭作業の一つです。樹木の場合、越冬時の枝折れを防ぐほかに景観的にもきれいに仕上げると、冬の庭も楽しめるようになります。要点を覚えて作業を行なうことで、いつもの冬囲いが実用的で、ワンランク上の美しい囲いができようになると思います。

正面から見たきれいな冬囲い
正面から見たきれいな冬囲い

冬囲いは昔から受け継がれているものが多く、“縁起を担ぐもの”でもあります。例えば、竹の本数は七、五、三。それ以上は十、十二。ムシロなどの掛け物は向かって右前にする(故人の着物は左前)など、古くから日本庭園の庭師たちが冬囲いの美観とともに、縁起を担ぐものとして受け継いできました。

樹木の冬囲いのポイント!

ポイント① 「3分の2」が大事

枝を絞る高さは、下から3分の2の高さ

樹木の幹は下が太く上が細いのは当然のことですが、これがとても大切で、3分の2の高さより低い位置ですと太くて絞り切れず、その上を絞ると下の縄が緩んでしまうことがあります。また、3分の2よりもさらに高いと、太い下方の部分が膨らんだり、上だけが狭くなって縄が外れてしまうことがあります。

3分の2の高さで絞って結束し、その上下にも枝を束ねてまとめている
3分の2の高さで絞って結束し、その上下にも枝を束ねてまとめている
大きな株立ちの樹木は、外側に広がる幹を縄で絞って枝折れを防ぐ
大きな株立ちの樹木は、外側に広がる幹を縄で絞って枝折れを防ぐ

吊る時の位置は、枝のつけ根から3分の2の所

3分の2より内側だと、先の枝が折れてしまいます。3分の2より外側だと、縄と幹の間で折れてしまいます。また、枝を吊る縄の角度は45度以上にすること。角度がないと吊った縄と枝が一緒に下がってしまい、冬囲いとして役に立たなくなります。

枝のつけ根から3分の2の所で枝を吊る。縄の角度は45度以上
枝のつけ根から3分の2の所で枝を吊る。縄の角度は45度以上

ポイント② 1本の樹木に使う竹の太さを揃える

1本の樹木に使用する竹(支柱)は太さを揃えると見た目にも美しいほか、強度も均等に保たれます。また、支柱の長さは、玄関横や通路脇などの目につく場所では、上部の先端が広がったり長さにばらつきがあれば、刺さるなどの危険防止も兼ねて広がらないように数カ所束ねるか、先端を短く切って揃えましょう。

 

ポイント③ 支柱の先端は、右側になる竹を下に一方向に重ねる

竹を数本立てて縄を絡み上げて囲う場合、支柱(竹)の先端は右側の竹が下になるよう一方向に重ねます。これは右効きの人が多いため、縄を右回りにかけるていくことを考慮した対応です。こうすることで自然と縄と竹がしっかりと締まります。

立てた竹の先端は、右側の竹が下になるよう一方向に重ね、縄で固定する
立てた竹の先端は、右側の竹が下になるよう一方向に重ね、縄で固定する

 

ポイント④ 正面を意識してきれいに冬囲いを仕上げる

竹を数本立てて囲いをするときは、正面に2本の竹が来るように立て、ほかより若干幅を狭くするとスマートでやわらかいイメージになります。また、縛り目を正面にして、縛った縄先は同じ長さに統一したり、竹に縄を絡み上げていく際は、正面に来る縄を水平にすることで美観的にもきれいに仕上がります。

正面2本の竹の間隔は、ほかに比べ少し狭くする
正面2本の竹の間隔は、ほかに比べ少し狭くする

 

ポイント⑤ 雪吊りの縄はまっすぐ張り、間隔を揃える

吊り物をするときは、途中の枝に縄が引っかからないようにします。樹木の幹や添えた丸太支柱から枝まで真っすぐに縄を張って、吊り縄と吊り縄の間隔を同じにするときれいな雪吊りができます。

大きな樹木の雪吊り。幹に丸太支柱を添えて縄を張り、枝を吊って雪の重みから保護
大きな樹木の雪吊り。幹に丸太支柱を添えて縄を張り、枝を吊って雪の重みから保護

冬囲いの手順 ~絡み上げ

01. 樹木の3分の2の高さの所で枝を絞り、束ねる。枝の広がりなど必要に応じ、その上下にも1~2カ所行なってもよい。

 

02. 樹木のサイズに合わせて、竹を3、5、7本のいずれかで立てる。正面に2本立つようにし、ほかよりも若干幅を狭くする。支柱の先端をしっかりとまとめて固定する。

 

03. 下から縄を絡み上げていく際、始点にきれいな縛り目を作り、一方向に縄を回していく。縄を支柱に巻きつける時は、巻いた縄先が下から出るようにすると緩むことなくしっかりと締まる。

縄先が下から出すようにして支柱に巻く
縄先が下から出すようにして支柱に巻く

04. 縄と縄の間隔は、広くても20cmくらい(サラシ竹の場合はもう少し広くても可)。上に向かうにつれて狭くなっていくようにすると、きれいに仕上がる。竹と縄でできる台形の形を意識し、各面で下から上へ形状を保って比率を統一する。

 

05, 最後の縛り目も、きれいに処理することを意識する。

ポイントを押さえた冬囲いを! 美しい冬の庭を楽しんで
ポイントを押さえた冬囲いを! 美しい冬の庭を楽しんで

雪国にとって冬囲いは樹木を守る大切な作業ですが、実用性はもちろん、美観も少し意識することで、冬の庭風景も楽しめます。せっかく作業を行なうなら、ワンランク上の冬囲いを行なってみましょう。

この記事を書いた人

森  正浩

森 正浩

長年、造園会社に勤め、主に圃場にて樹木の管理・栽培、造園時の樹木の選定などを担当。2019年秋から樹木専門「森さんの所」開業、代表。樹木の販売をメインに、植栽、剪定や冬囲いなどの管理業務を行なう。現在、娘さんが同社で修行中。

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