第36回

積雪の庭と室内に取り込んだ鉢植えのハーブ

今回は、雪の積もった庭の様子と、入室した鉢植えのハーブについてお伝え。 …香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。「風葉香(ふうか)」は、風で葉っぱが揺れ香るハーブのことをイメージして。

プロフィール

かりの あさの

ハーブ研究家、ハーブ講座講師。ハーブのある暮らしの魅力を多方面から発信。

 

 

12月に入って、寒気と積雪がセットでやってきました。ガーデニングシーズンが終わったあとは、少しゆっくり過ごせる時間となります。

庭に雪が積もると日差しが反射し室内が明るくなったり、落葉して寒々しい雰囲気だった頃とは違い、なんとなく白い雪の世界にうれしさを感じたりするものですね。

ローズヒップが雪を被っている。赤い実と白い雪の素敵なコラボレショーン
ローズヒップが雪を被っている。赤い実と白い雪の素敵なコラボレショーン

ロサグラウカのヒップは、ドライの花材には向かないのでそのままにしています。冬の戸外は色味が少なくなるので、赤い実と白い雪のコラボレーションがなんだか素敵に感じます。この実を食べに野鳥たちが頻繁に庭へやって来るのも、今時期の楽しみの一つ。

 

キッチンコンテナや鉢類は1カ所に集めて越冬させます。凍結させないように雪でしっかり覆うよう配慮し、除雪の雪をこのエリアにとばして大きなかまくら状にしています。

1カ所に集めたコンテナや鉢類
1カ所に集めたコンテナや鉢類

玄関の脇にある石積みの花壇エリアはバラやクレマチス、タイムやラミウムなどを植栽しています。ここにも雪を積むようにしています。石の蓄熱で雪解けが早いエリアなので、春早くから楽しめるように球根類も一緒に植えました。

玄関脇の石積みの花壇は、春早くからシーズンを通して花が咲いている。冬はしっかりと雪のお布団を被せ、越冬させる
玄関脇の石積みの花壇は、春早くからシーズンを通して花が咲いている。冬はしっかりと雪のお布団を被せ、越冬させる

我が家は札幌市内にあるものの、山々に囲まれている地域。そのため野生動物もたくさんいます。数年前には熊が出没し、家の前の道路を歩いてニュースになったことも…。冬の間はいろいろな小動物の足跡を庭で見かけるのですが、キツネ、うさぎ、アライグマなどさまざま。夜中に庭の中を行ったり来たりしているようです。

動物の足跡を発見!
動物の足跡を発見!

道路に面したメインデッキの下には、ツルニチニチソウが緑の絨毯のように育っています。ここは除雪の雪を被せてあげると枯れ込むことがないので、雪捨て場のようになっています。

デッキの下に広がるツルニチニチソウ
デッキの下に広がるツルニチニチソウ

さて、戸外越冬できない耐寒性のないハーブも結構多くあるので、これらは晩秋に室内に取り込んでいます。鉢植えで育てているので掘り上げ作業などはありませんが、年々株が大きくなり、歳を重ねる庭主の悩みでもあります(苦笑)。
株を更新して小さくしたり、鉢を素焼きからグラスファイバーにしたり、できることをして対策し、室内への移動は力持ちの知人に手伝ってもらうことも。何せ入手が難しい種類や、自分のハーブライフに欠かせないものばかりですので。

カレーリーフは成長が遅く、80cmくらいになるまで6年かかっています。

カレーリーフ。名前の通り、おいしそうなカレーの香りがする
カレーリーフ。名前の通り、おいしそうなカレーの香りがする

カルダモンも6年目。葉に独特の香りがあります。まだ実を収穫できていないので、来年はバックヤードのフカフカな土の周りに地植えしてみようかと思案中です。

カルダモン。実の収穫を楽しみにしているのだが…
カルダモン。実の収穫を楽しみにしているのだが…

ローズマリーは料理に欠かせないハーブの一つ。写真のように、ここまで木質化して大きくなれば、室内越冬もさほど不安はありません。
ローズマリーを室内で越冬させるために大事なのは、花を咲かせないこと。年が明けて3月頃までは花芽が付いてもカットして、体力を保持できるようにすると失敗が減ります。

ローズマリー。さまざまな料理に活躍! 香りが食欲をそそる
ローズマリー。さまざまな料理に活躍! 香りが食欲をそそる

ハーブゼラニウム類は、室内に取り込むときにかなりカットしています。それでも室内に入れてからの環境変化によって、葉が茶色くなって枯れるものです。枯れる部分が株の下方の葉なら問題ありません。新芽が元気に出てくるようであれば、気にしなくてよいでしょう。

ミントゼラニウム。下方の茎葉は枯れているが、新芽も出てきているので問題なし
ミントゼラニウム。下方の茎葉は枯れているが、新芽も出てきているので問題なし
アップルゼラニウム。小花が咲いている。写真左上のベージュの細長いものはタネ
アップルゼラニウム。小花が咲いている。写真左上のベージュの細長いものはタネ

ミントゼラニウムもアップルゼラニウムも、ガーデニングシーズンが始まる頃に土の中にタネを埋めておくと芽が出てきます。発芽率がよく、丈夫で香りもよいハーブゼラニウム類はおすすめです。写真のアップルゼラニウムも、親株のタネから育てた株。

 

三尺バーベナも北海道の庭での越冬は難しいのですが、レモンマートルの鉢植えに落ちたこぼれダネから育った株が年々木質化し、室内に取り込む際にカットした枝から新芽を出して3月頃に花を咲かせます。
北国以外のエリアでは、地植えの三尺バーベナをこんな感じで宿根草として楽しめるのね…、と羨ましい限りです。

三尺バーベナ。カットした枝から新芽が育ってくる
三尺バーベナ。カットした枝から新芽が育ってくる

レモンバーベナは、私の背丈くらいに育っている鉢と、50cmほどの鉢に植えているものと合わせて3鉢取り込んでいます。室内に入れる際、枝先はかなりカットして、必要最低限の光合成ができる枝葉は残します。それでも12月初旬には下方の葉が枯れてきます。これは、非暖房の部屋で管理しているので、休眠の準備に入ってきた…ということです。
レモンバーベナは葉がすべて落ちても、このように休眠状態かもしれないので、枯れてしまったかどうかは春まで様子を見てください。どうしても心配な場合は、先の細い枝(茎)を折ってみると枯れていないことがわかります。

レモンバーベナ。下方の葉は枯れ始めるが、新芽が元気なら問題なし
レモンバーベナ。下方の葉は枯れ始めるが、新芽が元気なら問題なし

クラベランディセージはレモンの香りがしてお料理に重宝するのですが、コモンセージより性質は繊細なよう。アブラムシがつきやすいですが、周りの植物に移っていかないので、私はそのまま管理してたまに水で洗い流しています。

クラベランディセージ。レモンのような香りがさわやか
クラベランディセージ。レモンのような香りがさわやか

我が家では基本、室内に入れた鉢植えは非暖房の部屋で越冬させています。「水やりは?」とよく聞かれますが、表土が乾いて葉がしんなりしていたら、湿らせる程度に与えます。鉢底からたっぷり水が出るまで与えるのは、3月頃になって新芽が一気に成長を始めてからになります。

 

気づけば、クリスマスがもう目前! 我が家は、玄関にクリスマス用のスワッグを飾りました。そして、クリスマスが過ぎると、新しい年まであと◯日…という時期。新年を迎える“お正月飾り”の準備も済ませ、飾り付けを待つだけです。

皆さまも、どうぞよいお年をお迎えください。

クリスマス用のスワッグ。これまでとは違う技法を取り入れており、来年の講座で楽しんでいただきたいスワッグの一つ
クリスマス用のスワッグ。これまでとは違う技法を取り入れており、来年の講座で楽しんでいただきたいスワッグの一つ
スワッグのお正月飾り。赤い実は縁起もの、ローズヒップを使用。そのほかユーカリとシルバーにカラーリングした枝を巻いて
スワッグのお正月飾り。赤い実は縁起もの、ローズヒップを使用。そのほかユーカリとシルバーにカラーリングした枝を巻いて

この記事を書いた人

かりの あさの

かりの あさの

herbarist・ハーブ研究家。ハーブやアロマの指導員などの資格を有し、30年以上植物と向き合い得た知識・経験をもとに、企業のアンバサダーや商品開発に携わる。また、さまざまな講座開催や公共の場での「みどりのまちづくり」のサポートなど、幅広く「ハーブのある暮らしの魅力」を伝えている。かりの あさのHP「ハーブまるごと生活」では、ハーブ&アロマのトータル情報をお届け。Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「かりのハーブ」も。

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