第11回

レンガにまつわるエトセトラ 産地・素材の土、焼き方など~niwaculアンバサダー

日々の暮らしのことやガーデンライフ、趣味、旅先のことなど、最近の感心ごとや楽しみを、niwaculアンバサダーの皆さんが各地よりお伝えしてくれるコーナーです。

 

*profile*

和泉 玲実さん
毎日が庭づくり。造園家としての日々の奮闘と、好きなことしている時間をつづります。東川町在住。旭川市東旭川に事務所を構える造園店「いずみガーデン」勤務。

 

 

お庭づくりに欠かせないレンガ!
種類と風合いなどの魅力

お庭の演出・デザインにも欠かせないレンガ。今回は、資材の中で比較的手に入りやすく、持ち運びしやすいレンガについてお伝えしてみたいと思います。
仕事で依頼を受けてお庭のプランを立てるとき、私もレンガを使うことがよくあります。周囲の緑になじむレンガの風合いは、ほかの資材に代え難いものです。産地や素材の土、焼き方、焼き具合などで風合いが異なるのも魅力です。

お庭のイメージ画
お庭のイメージ画
お庭のデザイン図。パティオ(テラス)やエリアの切り替わりなど、要所にレンガを取り入れる
お庭のデザイン図。パティオ(テラス)やエリアの切り替わりなど、要所にレンガを取り入れる

最近も、冬ですが「レンガが欲しい!」というお客様がいましたので、雪の下になっていたレンガを掘り起こしてみました。これはこれで大変でしたが…(笑)。

1月に雪の中にあったレンガは凍りついていたので、木のハンマーで優しく側面を叩きながら取り外し、1個ずつ雪の中から取り出しました。

レンガ置き場。すっかり雪に覆われている
レンガ置き場。すっかり雪に覆われている
雪で凍りついたレンガを掘り起こしているところ
雪で凍りついたレンガを掘り起こしているところ
年代も産地もばらばらのレンガ
年代も産地もばらばらのレンガ

掘り起こしたのは年代も産地も異なるレンガで、中にはもう何十年も前のものも混ざっています。一つひとつ眺めているだけでも、庭をイメージしてワクワクと楽しい気分になります。
レンガにもいろいろな種類があるんですよ。産地や素材の土色、焼き方、焼き具合などでも風合いの違うものになるところがレンガの魅力でもあります。それらをちょっと紹介してみます。

ロイヤルパインブリック
「ロイヤルパインブリック」は、素材の土に粒の大きさの違う砂利や牡蠣(かき)の殻などを混ぜて焼かれています。レンガを積み上げるときに使う「積みレンガ」には穴があいていますが、これは中までしっかりと焼くために穴をあけているのだそうです。高温で焼き上げるのが特徴で、1,300℃ほどの高温で仕上げているとのこと。サイズはオーストラリアサイズで、一回り大きく作られていることも特徴です。

ロイヤルパインブリック
ロイヤルパインブリック

同じ色でも、色幅が出ているものもあります。この色幅もまたレンガの魅力の一つと言えると思います。反対に、レンガの種類よってはほとんど色の差がないものあります。面白いですね。

どちらも同じイエロー。これだけの色幅が出ている
どちらも同じイエロー。これだけの色幅が出ている

 

●ショコラブリック
「ショコラブリック」は、ショコラという名前がスイーツを連想させますが、レンガの色もシフォン、ガレット、ガトー、ブラウニーなど、焼き菓子の名前がついた可愛いらしい印象のレンガです。国内産であり、広島県で作られています。

ショコラブリック。色のイメージで、焼き菓子のような可愛い名前がついている
ショコラブリック。色のイメージで、焼き菓子のような可愛い名前がついている

 

●ポータリーペイバー(敷きレンガ)
「ポータリーペイバー」は、一枚一枚釉薬を塗って焼き上げられた敷きレンガです。陶器のような質感を出すためにさらにひと手間かけて、通常のレンガにはない質感と色合いで人目を引く意匠(いしょう:デザイン)になっています。

ポータリーペイバー(敷きレンガ)。陶器のような質感
ポータリーペイバー(敷きレンガ)。陶器のような質感

 

●ソイルレンガ タンブル210
「ソイルレンガ タンブル210」は、使いやすいサイズ感とタンブル仕上げで角が落ち、少し丸みを帯びているのが特徴です。土を焼くことで出てくる色を生かして作られているので、植物の緑との調和も取りやすく、ほかの素材とも相性がよいように思います。ローズやオレンジがとても人気です。

ソイルレンガ タンブル210。ナチュラルな色調、レンガの角は少し丸みを帯びている
ソイルレンガ タンブル210。ナチュラルな色調、レンガの角は少し丸みを帯びている

 

●ブルディペイバータンブル(敷きレンガ)
「ブルディペイバータンブル」は敷きレンガに利用し、角のないタンブル仕様でアンティーク感が漂います。少し大きめのオーストラリアサイズで、焼きムラが深めで素朴な味わいを感じます。経年変化を感じさせてくれる多彩な表情が魅力です。

ブルディペイバータンブル(敷きレンガ)。角のないタンブル仕様
ブルディペイバータンブル(敷きレンガ)。角のないタンブル仕様

 

●江別レンガ
「江別レンガ」は北海道で最もなじみ深いレンガと言ってもよいでしょう。江別市野幌の土を使って巧みに焼き分けられたレンガを使うと、北海道の歴史を感じるような風格と上品さが漂います。サイズも豊富にあり、いろいろな使い方ができます。

江別レンガ。しっかり焼き上げられ、硬質で耐久性もある
江別レンガ。しっかり焼き上げられ、硬質で耐久性もある

江別レンガはさまざまな建物への利用や敷地周りに敷かれるだけでなく、レンガの形状によってブロックのように使うと、崩れにくい簡易式のピザ窯にもなります。モルタルを使用せずに組めるので、積み替えることでピザ窯だけでなく、BBQコンロにも変えることができますね。

崩れにくいブロック型の形状
崩れにくいブロック型の形状
レンガを積んでピザ窯やBBQコンロに
レンガを積んでピザ窯やBBQコンロに

レンガは一つひとつ産地が異なり、色やデザインも違うので、レンガのことを知ることでお庭の演出・デザインの幅も広がる楽しい資材です! ぜひ取り入れてみてくださいね。

 

(niwaculアンバサダー 和泉玲実)

この記事を書いた人

和泉 玲実

和泉 玲実

東川町在住。旭川市東旭川に事務所を構える造園店「いずみガーデン」勤務、設計部長。造園・ランドスケープの設計やデザインを手がける。植物にも詳しい。幼稚園や病院の庭など、子供と地域のつながり、福祉と庭などをテーマにした分野にも注力。ガーデンデザインの勉強をするため、カナダ、アメリカ、ニュージーランドでの修行経歴も持つ。

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