
北海道の花育て【3月】―樹木・花木のこと。春先の雪害対処と石灰硫黄合剤の注意点
森 正浩
北海道でのバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理を専門家が伝授。ここでは「芝生」についてお伝えしていきます。
赤石 恵一さん
造園店「エルガーデン」代表。個人の庭から、公共の緑地帯の緑地帯の維持管理・工事まで行なう。
昨年は、札幌を含む道央圏では記録的な大雪によって交通網も寸断され、日常の生活にも影響を与えるほどでしたが、総じては例年並みの雪の量に戻ったでしょうか。今はまだ雪に覆われた庭を眺めるだけですが、3月に入ると真冬日も少なくなり、日中の気温も上がってきます。いよいよ春の気配を感じはじめる頃ですね。
●芝面は積極的に除雪作業を
前回、春先の芝生の病気についてお伝えしましたが、3月になり気温が上昇し出すこれからが、実(じつ)は悪さをする菌の繁殖時期になります。その繁殖をいち早く止める対策として、早めに太陽光を芝生に当ててあげること。そこで、日中の温かさを感じ始めたら、積極的に除雪作業をしてみましょう。
いつまでも陽光が当たらないのは、芝生の生育面から考えてもマイナスしかありませんので、なんとか雪を減らして少しでも日光を当て、年間の生育期間を増やしたいところです。
排雪できる場所があれば、角スコップなどを使って、芝生を傷めないよう注意しながら除雪するのが一番よい方法です。また、動力式の除雪機をお持ちであれば、芝面に注意しながら除雪してもよいでしょう。
ただ、春先の雪は重たいです。体力も不安だし、排雪場所もないという場合は、融雪剤を活用する方法もあります。融雪用のモミ殻くん炭をまいてもよいですし、最近は塩化カルシウムを使わず植物を傷めない融雪剤も市販されていますので、その使用も検討してみてください。
●雪解け後の注意点
北国の芝庭では、冬期の凍結時はスコップも刺さらないほどですが、雪が解けて陽光が当たり出すと、芝も土壌も一気にやわらかくなります。むやみに歩いたりすると、芝生を非常に痛めることになるので注意が必要です。
特に春先ですが、物置きに片づけた道具を取りに行く際など庭への出入りが多くなると、芝生を傷めてしまう事例が多いです。そのような場合、通路として芝の上を歩く場所には工夫を施します。歩行できるサイズの板を簡易的に置いたり、敷石を設置したりして、直接芝の上を歩くことは避けようにしてください。
春先のリスクを減らしながら少しずつ準備を進めて、今シーズンも存分にガーデニングライフを楽しみたいですね。
この記事を書いた人
恵庭市にある造園店「エルガーデン」代表。公共の緑地来の維持管理・工事をはじめ、個人の庭の設計・施工などのも行なう。芝庭・バラの庭を得意とする。ご自宅の庭では、バラの庭づくりを長年楽しんでいる。
書いた記事を見る\ このページをイイネする /
※会員ログイン後はお気に入り登録されます。