第44回

ガーデンの春のメンテナンス。ニセコ通いがスタート!

今回は、ニセコにある「ヴィラ ルピシア」とビール工場前のガーデンエリアのメンテナンスの様子をお伝え。 ~香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。「風葉香(ふうか)」は、風で葉っぱが揺れ香るハーブのことをイメージして。

プロフィール

かりの あさの

ハーブ研究家、ハーブ講座講師。ハーブのある暮らしの魅力を多方面から発信。

 

 

私が担当しているお仕事の一つに、ニセコのガーデンがあります。北海道も春を迎えて、いよいよニセコ通いがスタートしました。中山峠から車で向かう道中、日によって見え方が変化する羊蹄山の美しさを感じるのも醍醐味の一つです。

喜茂別側から眺める、早朝の羊蹄山
喜茂別側から眺める、早朝の羊蹄山

今回ご紹介するのは、ニセコにあるルピシアの施設「ヴィラ ルピシア」のガーデンと、ビール工場前のガーデンエリアのメンテナンスの様子です。それと、少しだけお楽しみ情報も。

 

今シーズンはニセコも雪解けが早く進み、昨年秋に植え込みした球根類がいっせいに成長を始めています。予想を超える成長スピードと充実したサイズ。ボランティアの皆さんと小雨が降る中で植えた球根が、元気に育ってくれている様子を見ると嬉しさがこみ上げてきます!

とはいえニセコは標高の高い地域なので、札幌から比べると少しだけ開花は遅くなります。チューリップやスイセン、ヒヤシンス、アリウムなど多種類の球根が植栽エリアに入っており、一年草を加える5月下旬まではきっと花を楽しめるはずです。

「ヴィラ ルピシア」レストラン前。球根の芽出しは順調に進んでいる(4月下旬の様子)
「ヴィラ ルピシア」レストラン前。球根の芽出しは順調に進んでいる(4月下旬の様子)
チューリップ、スイセン、アリウムなどが芽を出してすくすく育つ
チューリップ、スイセン、アリウムなどが芽を出してすくすく育つ

「ヴィラ ルピシア」には連日たくさんのお客様がいらっしゃいます。食事を楽しめるレストランのほか、お茶やスィーツ、デリやパン、ビールなどを購入できるブティック棟や、ルピシアの歴史を知ることができる博物館のような建物もあります。
皆さんに春の雰囲気を味わっていただけるようにパンジー&ビオラ、チューリップの鉢植えも設置しました。作業中に「今年は何色の花が咲くの?」「昨年の淡いピンクのフリル咲きが可愛かったわね!」など声をかけていただくと、メンテナンスも楽しくなるものですね。

パンジー&ビオラの鉢植え。色とりどりの組み合わせでお出迎え
パンジー&ビオラの鉢植え。色とりどりの組み合わせでお出迎え

宿根ハーブの移植作業も順次進めています。大きく成長した株は掘り上げるのも大仕事なので、力持ちのスタッフと一緒に行なっています。
新芽が出てきて土壌が凍結していなければ、株を掘り上げてほかの場所に移植することができます。春先はまだ油断できない気温の日もあるのですが、新芽の成長に勢いが出てくる前に済ませると、株が弱るのを防げます。天候の見極めも肝心ですね!

 

フェンネルやラビッジなどセリ科の植物は本来移植を嫌いますが、やむを得ない場合はできるだけ早めに、長い根を極力切らないように土と一緒に大きく掘り上げ、深めに植え込みすると失敗が減ります。移植や植え替えをした株は、その年は根を落ち着かせるために栄養を使うので、地上部の成長は緩やかになります。

作業日和のお天気のもと、移植するハーブの掘り上げを行なう
作業日和のお天気のもと、移植するハーブの掘り上げを行なう
駐車場スペースのボーダーガーデン。球根類や移植したフェンネル、チャイブなどの宿根ハーブも順調に成長中
駐車場スペースのボーダーガーデン。球根類や移植したフェンネル、チャイブなどの宿根ハーブも順調に成長中

アルケミラ モリス、チャイブ、キャットミントやラムズイヤー、アナベル、ホスタなどの宿根草が3年目を迎え、一気に大株になる気配です。ガーデンの開花プランとしては、チューリップなどの球根花からスタートして、チャイブ、アルケミラ モリスが続いて咲き出し、春一番の風景になりそうです。5月下旬、チューリップの花が終わる頃に背丈のある一年草をたくさん植栽し、晩秋まで楽しめるようにしていく予定です。
毎年必ず植栽している一年草は、三尺バーベナとジニア! 三尺バーベナが先に背丈が伸びるのですが、7月中旬にジニアが花盛りを迎えると、三尺バーベナも開花リレーするように咲き出して追いつくイメージです。花期が長く、秋まで咲いてくれるので大変重宝しますね!

駐車場ボーダーガーデン 定番の花! 一年草の三尺バーベナとジニア
駐車場ボーダーガーデン 定番の花! 一年草の三尺バーベナとジニア

また、レストランの玄関エリアには壁面を利用して数種類のつる性植物も植栽しています。駐車場のボーダーガーデンには植えていないハーブ類もあり、眺めて楽しむのにもよいですし、撮影スポットにもおすすめのエリアです。

レストランの玄関エリア。あふれんばかりに成長し、花壇の花々から壁面を覆うつる植物まで、空間を素敵に演出してくれる
レストランの玄関エリア。あふれんばかりに成長し、花壇の花々から壁面を覆うつる植物まで、空間を素敵に演出してくれる

よい状態を保つために、ガーデンのハイシーズンは週1回のペースでメンテナンスに通います。一緒に作業してくれるボランティアのハーブ仲間がいるので、心強いです。
都合が合うときにメンテナンスを一緒に行なってみたい、お花と触れ合いたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ私のSNSにメッセージでお声がけください。(下記のライタープロフィールよりSNSでメッセージが送れます)

定期的なメンテナンスの様子
定期的なメンテナンスの様子

「羊蹄山麓ビール」を生産しているルピシアのビール工場エリアのガーデンも、今年はGW(ゴールデンウィーク)前にすっかり積雪がなくなりました。例年でしたら、GWにもまだ日陰エリアや周囲の林床にも雪が残るのです。
春先は土ばかりが見えている花壇ですが、初夏に向かってぐんぐん植物たちが育って、想像できないくらい生い茂ります。花がきれいなハーブをたくさん植栽しているエリアもあり、とても華やかですよ。また、少し土が痩せてきている感じがあるので、今シーズンは土壌改良にも着手したいところです。

ビール工場エリアのガーデン。春の様子
ビール工場エリアのガーデン。春の様子
初夏の様子。鮮やかな花色のエリア。エキナセア、リアトリス、銅葉のリグラリアなど
初夏の様子。鮮やかな花色のエリア。エキナセア、リアトリス、銅葉のリグラリアなど
白い花のエリア。エキナセア、リアトリス、アナベル、ヤロウなど
白い花のエリア。エキナセア、リアトリス、アナベル、ヤロウなど

さて、こちらはガーデンとは関係ないのですが、ニセコ方面へお出かけする機会がありましたら、道の駅ニセコビュープラザの駐車場向かい側にあるルピシアグルマン工場 製造直売所「EX-Factry(エクスファクトリー)」に立ち寄ってみるのもおすすめです。

ルピシア「エクスファクトリー」にはシェフ特製のデリやお弁当、パンなどが並ぶ
ルピシア「エクスファクトリー」にはシェフ特製のデリやお弁当、パンなどが並ぶ

時期によりメニューが変わるシェフ特製のデリやお弁当、羊蹄山麓ビールやソルベ、パンやスィーツなどを買うことができますよ。冷凍スコーンやソルベの自販機も設置されています。

ラザニア
ラザニア
長芋のサラダ
長芋のサラダ
シェフ特製のお弁当
シェフ特製のお弁当

自然豊かな環境の中でガーデンの様子を眺めたり、食事やお買い物を楽しんだり、ニセコのドライブコースに加えてみてくださいね。

この記事を書いた人

かりの あさの

かりの あさの

ハーブ研究家。(株)ルピシア グルマン顧問。ハーブを取り入れた植栽デザインや料理の提案、また、ハーブ講座の講師として活躍。日本園芸協会ハーブコーディネーター、JAISハーブ学習指導員、JEAJアロマテララピーアドバイザーほか。 自宅の庭で100種類以上のハーブの植栽、野菜栽培を楽しむ。かりのあさのHP「ハーブまるごと生活」では、ハーブ&アロマのトータル情報をお届け。Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「かりのハーブ」も。

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