
ポタジェのつくり方.1 ~ポタジェとは?育てる植物の選び方
藤井 純子
北海道でのバラや宿根草、芝生や樹木、病害虫についてなど季節のお手入れ・管理を専門家が伝授。ここでは、「樹木・果樹」についてお伝えします。
森 正浩さん
樹木専門「森さんの所」代表。樹木の販売をメインに、植栽、剪定や冬囲いなどの管理業務を行なう。
今年は例年より早いガーデニングシーズンの始まりとなりました。植物の芽吹きや開花、今から楽しみがいっぱいです。その楽しみを、月の満ち欠けで考えてみるのもいいかもしれません。昔から語り継がれてること…、実際はどうなのだろうか?とちょっと気にかけてみるのも面白いと思いますので紹介したいと思います。
植物と月との関係についてですが、海と月、月と太陽の引力が関係している潮の満ち引き、そこには水分が多い植物や人にも大きく関係しているといわれています。
●新月伐採と樹木の移植
「新月伐採」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 樹木が休眠している冬季の下弦の月~新月に伐採した樹木は、幹に水分・栄養分が少なく、材としては腐らず、虫がつかず、反らず、長持ちする最高の木材ができる!という話しがあります。
樹木を移植するときにも同じようなことが考えられていて、新月のときには幹や枝、葉には水分や養分が少なく、根にそれらが蓄えられているので、新月に移植を行なうことで、その後根に蓄えられた水分や養分が枝葉に広がり、移植で弱った樹木の水上げを助けてくれるので活着がよくなるそうです。大切な樹木や、想い出のある樹木などの移植を行なう際には、気にかけてみるのもよいと思います。
●満月を控えたタネまき、新月時の定植
満月の数日前にタネまきをすると、根を出して、枝葉に養分を吸い上げやすい状態になる頃に満月を迎えるので、しっかりと丈夫な芽が出てくるといわれています。また、新月の際に定植すると活着がよくなるのだそうです。
●虫対策の薬剤散布のタイミング
月の満ち欠けを利用した考え方は、昆虫類の産卵や孵化にも関係していて、それを参考に消毒や薬剤散布をする時期をいつにするか決めることもできるんです。
植物を食する虫の多くは、おいしい栄養価の高い葉や芽先を食べるために満月に卵を産むと考えると、その数日経った3~5日後くらいに消毒をしてあげると孵化したばかりの虫を退治することになるので、薄めの薬剤散布で効果が期待できたり、植物への被害が最小限で食い止めることができます。
害虫はとても種類が多いので、そのすべてを防除することは無理かも知れませんが、月を見ながら害虫予防できるって考えると、大嫌いな害虫も少しは許せる存在になるかもしれませんね。
今シーズンは、夜空を見上げてガーデニングの作業予定を立ててみると、例年と違った楽しみができるかも知れません。
5月の作業についてですが、これからの時期はさまざまな春咲きの花木が見ごろとなりますので、花を楽しんだあとはすぐに花がらを含めた剪定を行なうと、余計な体力を使わせることなく、樹勢が弱ることもないので、翌年の花芽形成にも影響が少なくなります。
また、樹木選びについて、店頭にたくさんの樹種が並んでいる今の時期に、実際に見て買い求めるという人も多いでしょう。樹木と一言でいっても、成長の度合いや樹形、管理の仕方もさまざまですので、ご自分の庭に合った無理のない樹種を選ぶことがストレスのない庭づくりにつながります。
ポイントは、庭の広さに合ったサイズの樹木を選ぶこと。大きく育ったときの樹高や株の広がり、生育スピードなど、あらかじめ調べてから選ぶようにしましょう。
ほどよいサイズ感で、比較的管理がラクなのは、コデマリ、ユキヤナギ、シモツケ、ニシキギなどの低木類。クラブアップルやウツギ類、シダレモミジのような剪定で抑えられる樹種、コニファーやイチイのような刈り込んで樹形を維持できる樹種などになります。
長年、造園会社に勤め、主に圃場にて樹木の管理・栽培、造園時の樹木の選定などを担当。2019年秋から樹木専門「森さんの所」開業、代表。樹木の販売をメインに、植栽、剪定や冬囲いなどの管理業務を行なう。現在、娘さんが同社で修行中。
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