
春に向けた準備「苗づくり」その2――「鉢上げ」のタイミングと作業
藤井 純子
日々の暮らしのことやガーデンライフ、趣味、旅先のことなど、最近の感心ごとや楽しみを、niwaculアンバサダーの皆さんが各地よりお伝えしてくれるコーナーです。
*profile*
和泉 玲実さん
毎日が庭づくり。造園家としての日々の奮闘と、好きなことしている時間をつづります。東川町在住。旭川市東旭川に事務所を構える造園店「いずみガーデン」勤務。
東川町の春は、望む旭岳や大雪山にも雪が残り、まだ少し肌寒い日が続いています。周囲は自然豊かな環境でもあるので、春の楽しみといえば、「山菜」もその一つ。定番の行者ニンニクや今期初めて食べたヤチブキ(エゾノリュウキンカ)など、山菜をたくさん味わいました。春一番のフキの葉っぱを使ってつくった佃煮が、特に美味しかったです!
今シーズンは、どんなガーデンライフになるのかなぁ~と想像しながら、旬の味覚を楽しみました。
これからだんだんと夏に向かっていきます。日差しが気になる庭でもゆっくりと過ごせるように、造園家である私たちが施工させていただいたお庭より、「日除け」のアイデアをご紹介いたたいと思います。
まずは、手軽に取り入れやすいのが「パラソル」。簡単に設置でできて、風の強い日だけパラソルを閉じるようにすれば、庭のシーズンを通して使うことができます。手軽さではナンバーワンではないでしょうか! パラソルの支柱は木製と金属製があるのですが、我が家で使っているのは金属製のものです。
町内にあるこども園の、「子どもたちの園庭」で使用しているパラソルは木製の支柱です。テーブルは父母の皆さんと先生で作ったオリジナルで、子どもの背丈に合わせて低いテーブルと椅子になっています。
また、別の園では、子どもたちのために作った「日除け付パーゴラ」を設置。女性の先生でもシェードセイルを取り外ししやすいように、ちょっと低めに金具を付けています。
先生のご要望で、子どもたちが喜ぶ木製品のパーゴラに。数人がシェードに入って遊べる砂場になるよう、パーゴラやおままごとの遊具の図面を引いて、職人さんに作っていただきました。今では、子どもたちに大変人気の遊び場になっているようです。
西日など、横からの日差しも垂直方向に設置したシェードセイルで軽減されていると思います。日差しの向きなどを考えて、日除けが必要な方向に設置することが大切ですね。
もう一つ、三角形のシェードセイルもあります。見た目にアクセントをつけたい場合や、柱の数を減らしたいときに利用しています。こちらは小川が流れる水遊び場なので、シェードセイルや樹木でほどよい日除けにしました。木を植え、シェードセイルを取り付けると、体感温度がかなり下がったように思います。
背後に植えた木はナラノキの株立ちで、葉張り(葉の広がり)があり、日除けとして有効な使い方ができたと感じました。この木を植えるときにクレーンを使ったのですが、寝かせておいた木が立ち上がった途端に、園舎の中から見ていた子どもたちが、「わぁ!」と声を上げて喜んでくれたことを思い出します。
さて次は、モダンな雰囲気のパーゴラです。支柱の色をブラックにまとめ、外からの目隠しにもなる横張りの板(フェンス)を数本取り付け、周囲に樹木も数本植えました。シェードセイルに比べると日除け度合は落ちますが、強風時の取り外しの手間などがないので、気軽に使えるアイテムでもあります。ある程度、屋根材のラフターの間隔があれば雪もたまらないので、雪下ろしをしない場合もあります。
楽しげなデザインでは、木をイメージしてつくったパーゴラもあります。必要に応じて、日除けの布を上から掛けたり、ビームに(編み込むように)絡めたりしながら、好みに合わせて気軽に日除けできるようにデザインしました。色は3色使って楽しげな雰囲気の仕上りに!
そのほか、植物でシェードを生み出すこともできます。例えば、千成(せんなり)ひょうたんとフウセンカズラを使ったグリーンカーテンにチャレンジしてみました。育っていく様子も楽しめますし、見た目も面白いフウセンカズラの実で遊んだり、ひょうたんの実がたくさんなるので収穫を楽しむこともできる、発展的な日除けです。こういった四季を楽しめる仕掛けをつくることこそ、庭づくりの醍醐味かなと感じます。
最後に、我が家の庭にも、ついにシェードセイル付きのパーゴラを設置することにしました! マカロングリーン色に塗った木製の柱を立てて、シェードを設置する予定ですが、春から夏にかけては本業も大忙しで、いつになったら完成するのか見当もつきません(笑)。ゆっくり焦らずに、夏までには?それとも秋までには…?、今シーズン中の完成を目指したいと思います。
ぜひ皆さんも、日除けを庭に取り入れて、より快適な庭での時間を過ごしてみてくださいね。
(niwaculアンバサダー 和泉玲実)
東川町在住。旭川市東旭川に事務所を構える造園店「いずみガーデン」勤務、設計部長。造園・ランドスケープの設計やデザインを手がける。植物にも詳しい。幼稚園や病院の庭など、子供と地域のつながり、福祉と庭などをテーマにした分野にも注力。ガーデンデザインの勉強をするため、カナダ、アメリカ、ニュージーランドでの修行経歴も持つ。
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