
マオイの丘で手がける庭が舞台 フォトエッセイ「いのちのガーデン」発刊
北海道で家族とともに裏の森へとけ込むような「花と緑のガーデン」を作る、車椅子のガーデナー 山崎亮子...
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植物のことを学び・知ることはもちろん、ゆったりとした気持ちで花を眺め、癒される、そんな「本」を、ブックコーディネーター・ライターの尾崎実帆子さんが紹介していきます。
今回ご紹介するのは、「古今東西の落語に登場する植物に注目して、噺(はなし)のあらすじと木や草花にまつわる雑学をまとめたもの」(P3「入園のご案内」より引用)。私たちの身近な植物(花や草木だけでなく野菜や豆、海藻なども含まれています)が五十音順に登場し、全部で100種の植物と落語の演目が載っています。
例えば最初の「あおい」の折では、徳川家の家紋である「葵(あおい)の御紋」から江戸8代将軍にまつわる演目「紀州」の簡単なあらすじを紹介。続いて葵をテーマにした俳句や古典などの文学作品や豆知識的な雑学が披露され、最後は葵をネタに「なぞかけ(〇〇と掛けて△△と解く その心は□□)」で締められます。
落語の中にこれだけたくさんの植物が出てくるのか…と感心しますが、それだけ昔から私たちの生活の隅々にまで、さまざまな植物が密接に関わっているということでしょう。落語をよく知っている人なら寄席の雰囲気を想像しながら、噺に登場する植物にフォーカスするという新たな楽しみ方が発見できる構成になっていますし、ふだん落語に親しみがないという人でも、植物という切り口で紹介される落語は身近に感じられるでしょう。
掲載されている演目の大半が「古典落語」と呼ばれる江戸時代に広まった作者不詳のものです。江戸時代から市井に伝わるウィットに富んだ言葉遊びやシャレなどが、現代にまで伝わっていることにあらためて驚かされます。あらすじは非常に簡潔に書かれているので、「ん?このオチはどういう意味?」と感じてしまう噺もあり、ちょっとした頭の体操になります。
目次の植物名から選んで読むもよし、面白そうな演目名から読んでみるのもよし。すべての「折」が見開きで完結しているので、庭仕事や家事の合間などのスキマ時間に開いて楽しんでみてはいかがでしょうか。
ブックコーディネーター・ライター。「Sapporo Book Coordinate (さっぽろブックコーディネート)」代表。「適“本”適所」をコンセプトに、カフェやショップ、商業施設、イベント会場など、街のさまざまな場所で本を買える仕組み作りに注力。本にまつわるイベントを企画開催したり、本の楽しさを伝える書評執筆を行なう。北海道新聞「親と子サンデー ほん」を2012年より執筆ほか、絵本・児童書の書評掲載、雑誌やラジオなどのメディアで書評掲出。札幌インストラクターガイド登録講師、絵本・児童文学研究センター正会員。
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