
第7回 <niwacul×コメリ> 花と庭・暮らしの楽しみ方 ~<Vol.2>春色のコンテナ作り 鉢サイズや道具など
niwacul編集部
ガーデニングを快適に! 使いやすい道具やおしゃれなガーデニングウェアを身に着けて、庭しごとを楽しく行ないましょう。「庭どうぐ」の基本の選び方、豆知識、おすすめなどを、園芸グッズの企画・開発も行なう武藤良幸さんが伝授します。
以前、ガーデニング初心者の方に「カナテコバール」という庭道具を説明していたら、その人は「遊び心ある日本人オーナーが経営するスペインもしくはイタリアン風の飲食店」をイメージしたらしく、お互いの頭の中で、緑あふれる庭と美味しそうなピンチョスやタパスが交差しはじめて混乱した経験があります。
出だしから話がそれましたが、カナテコバールはヘンテコなバルの店名ではなく、シンプルで便利な庭道具の一つです。あくまでも私の想像ですが、「金属の棒+テコの原理=略して 金テコ(カナテコ)」が呼び名の由来のような気がします。
カナテコバール(以下、カナテコ)は、製品によって形状に多少の違いはあるものの、おおよその直径は2~3cm、長さは1~1.8mくらいのものがあり、プロのガーデナーがよく使っているのは長さ1.8m程度のもの。この長さですと重さは6~7kg近くあります。通常、片方の先端は尖っていて、もう一方はノミのように平たくなっています。
大まかに使い方を分けると、①重たいものを動かす、②固いものを割ったり断ち切る、③土に細くて深い穴をあける、この3つが基本になります。
①重たいものを動かす
土に埋まった大きな石や伐採した樹木の根を起こす(取り除く)という使い方。北海道の開墾や開拓にもなくてはならなかったようです。腕の力ではびくともしないような石の下にカナテコの先端を入れ、テコの原理で石をぐいっと浮かします。次に、その浮いた隙間に枕木のような丈夫な木材を挿し込んだら、いったんカナテコを抜き、その木材と石の間にまたカナテコをぐいぐいと押し込んで石を浮かせます。これを何回か繰り返すことで、重い石を土の中から取り出すことができるのです。
身長150cmくらいの女性が長さ1.8mほどのカナテコを使って、軽トラックを10cmほど浮かせているところを見たことがありますが、小さな力を大きく変えることができるパワーツールといえます。開墾や庭づくりだけでなく、震災時の救助活動や復旧活動などにも使われており、消防車の積載品としても採用されているようです。
②固いものを割る、断ち切る
石やコンクリート、樹木の根などにカナテコの先端を突き刺して使います。カナテコの先端で石を砕いたり、根の繊維を断ち切ったりします。石切り場の石工(いしく)職人や、樹木の伐根(ばっこん)そして移植用として植木職人からも古くから愛用されてきました。
③土に穴をあける
カナテコの先端を土に挿し、ぐりぐりと揺すりながら自重で深い穴をあけるイメージです。支柱を立てたり、冬囲いの竹を土に挿し込むときの下穴あけや、ピンポイントで土壌改良したり、施肥(肥料やり)をしたりする際にも便利。私の場合は、衰弱した植物の回復を図るため、植物の周りの締め固まった土にカナテコで深さ30cm程度の細い穴をいくつかあけ、そこへ粉状の木炭を入れて土の中の通気性を改善する目的でよく使っていました。
土を掘らずに深い穴があけられるので、植物や人への負担も軽いといえるでしょう。ただし、力まかせにカナテコを地面に突き刺すのは、大ケガや土の中の埋設物を壊してしまうことにもつながりますのでご注意を!
カナテコはアマチュアガーデナーにとって馴染みがないかもしれませんが、使い慣れてくると手離せなくなる庭道具です。物置やガレージに1本置いておくと、「ここぞ」というときに活躍してくれますよ。
「momiji合同会社」代表。「momiji(もみじ)」は人と園芸、人と庭をつなぐための会社。若い園芸家や庭師を育て、彼らの道具や新しいガーデニンググッズの企画・販売を行なう。また、おしゃれな道具など介し、園芸・ガーデニングの普及活動に努めている。
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