
わたしの庭どうぐ <第12回> ソフトに庭ゴミをかき集める「ハンドレーキ」
武藤 良幸
ガーデニングを快適に! 使いやすい道具やおしゃれなガーデニングウェアを身に着けて、庭しごとを楽しく行ないましょう。「庭どうぐ」の基本の選び方、豆知識、おすすめなどを、園芸グッズの企画・開発も行なう武藤良幸さんが伝授します。
日用品として家の中のいろいろなシーンで使われる「ブラシ」は、庭の中でも欠かせない道具です。
テラスやウッドデッキなどの床掃除はもちろん、ガーデンブーツの靴底やショベルやプランターにこびりついた泥を落としたり、インターロッキングブロックのようなペイビング(石や枕木などを敷き詰めた舗装)の目地へ入り込んだコケや雑草をこそげ取るのにもブラシが使われます。掃除以外にも庭やエクステリアの造作で活躍する左官ブラシというものもあるなど、庭の中ではさまざまなブラシが使われています。
庭の掃除や庭道具のメンテナンス用としてよく使われているのは、デッキブラシやタワシ、洗車ブラシが多いようです。そのブラシの毛は、ココヤシ繊維やプラスチック、馬毛や豚毛、スチールワイヤーといった素材があり、そのかたさ(コシ)や長さによって用途や扱い方も変わります。ブラシはゴミを掻き集めるホウキと違って、しつこい泥や汚れ、サビ、芝刈り機の刃にこびりついた植物の繊維などをゴシゴシこすり落とす使い方が一般的ですね。
ところで、イギリスやアメリカといった欧米圏のツールショップやホームセンターへ行くと、日本であまり見かけないタイプのハンドブラシをガーデニングコーナーや日用品売り場で見かけることがあります。
特徴はブラシの毛にあって、毛の長さは日本で見かける洗車ブラシやデッキブラシよりも長く、毛のコシ(毛のかたさ)は竹ぼうきみたいな感じです。
私が持っているのは、イギリスのペイントブラシメーカー、ハリス製(Harris)の「PVC(ポリ塩化ビニル)ブラシ」(ブランド名:グランズマン(Groundsman))。英国王立園芸協会(RHS)承認製品ということですが、ガーデニングに特化したブラシというわけでなく、現地では千円未満で販売されている日用品のようです。
この「PVCブラシ」は毛の長さが10cmほどあって、その一本一本に強いコシがあります。このコシの強さを身の回りのものに例えると、庭ぼうきや竹ぼうきに近い感覚です。そんな強いコシのあるブラシを日本で探してもなかなか無いんです。
このブラシ、レインブーツの靴底にべっとりとついた粘土や、芝刈り機の刃にこびりついた植物の繊維など、やわらかい毛のブラシでは落としにくい汚れをガシガシとこすり落とすのに便利。それでいて毛の密度が粗いから、泥や繊維かすのようなゴミが毛の中に詰まりにくい。長くてコシがあって密度が粗い毛のブラシは繊細な使い方には合わないけど、タフさが求められる庭の掃除や庭道具のメンテナンスにはもってこいのブラシです。
「momiji合同会社」代表。「momiji(もみじ)」は人と園芸、人と庭をつなぐための会社。若い園芸家や庭師を育て、彼らの道具や新しいガーデニンググッズの企画・販売を行なう。また、おしゃれな道具など介し、園芸・ガーデニングの普及活動に努めている。
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