第56回

秋のポタジェ ~ハーブと秋冬野菜

ポタジェでリースの土台づくりのために育てている野ブドウの実も色づき、秋の深まりを感じる季節。今回は、今シーズンを振り返りながら“秋のポタジェ”の様子をご紹介。
このコーナーでは、季節ごとの野菜やハーブ、果樹、お花など、相性のよいコンパニオンプランツを組み合わせながら育てて楽しむ“ポタジェのある暮らし”を紹介していきます。お料理や花のクラフトも。

プロフィール

藤井 純子さん

「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとしてセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。野菜ソムリエ、ハーバルセラピスト。

 

 

ポタジェでリースの土台づくりのために育てている野ブドウの実も色づき、秋が深まってきたことを感じる季節ですね。今回は、今シーズンを振り返りながら、“秋のポタジェ”の様子をご紹介したいと思います。

ジャーマンカモミールの「ゴマージュ」
ジャーマンカモミールの「ゴマージュ」

今年の札幌は例年に比べると気温が高く、朝晩は冷え込むものの、9月下旬から10月になっても日中は暖かな気候に恵まれ、そのおかげで秋冬野菜も順調に育ってくれています。

9月末のポタジェの様子
9月末のポタジェの様子

ポタジェで育つハーブと秋冬野菜

●レモングラス(イネ科、宿根草)
園芸店でレモングラスの大苗を見かけて、久しぶりに購入しました。ハーブとして植えたレモングラスですが、ガーデニングで使われることの多いグラス類と同じように伸びやかな曲線が美しく、ポタジェに動きをつけてくれました。スッと伸びた三尺バーベナとエキナセアを隣に植え、手前にはミントを混植。

カレンデュラは花びらを利用する
カレンデュラは花びらを利用する

 

●コットン(アオイ科、一年草)
リースなどのクラフト用に育てているコットン。例年よりも草丈が大きく育ってくれました。これもきっと夏の暑さのおかげですね。実が弾けると中から綿が出てくるのですが、そろそろ霜が降りるのでタイムリミットを迎えます。10月中には、枝ごと収穫して温かい室内に取り込みます。そうすることで自然と実が弾けてくれます。

赤紫の花が美しいコモンマロウ
赤紫の花が美しいコモンマロウ
白色の綿ができるコットンの花は優しいクリーム色
白色の綿ができるコットンの花は優しいクリーム色
茶色の綿ができるコットンの花はピンク色をしている
茶色の綿ができるコットンの花はピンク色をしている
大きく膨らんだコットンの実
大きく膨らんだコットンの実

 

●ほうきもろこし(イネ科、一年草)
座敷箒(ざしきほうき)の材料になる「ほうきもろこし」。今年初めて育ててみましたが、どんどん草丈が伸びて3mほどに育ちました。風で枝が折れてしまわないかと心配しましたが、風に身を任せているかのようにしなやかに揺れ、持ちこたえてくれました。先端にできた穂には、艶やかな小さな赤い実がたわわに実り、なかなかの重さに。冬の間、ミニほうきづくりにチャレンジしようかなと考えています。

花には優しいリンゴのような香りがあり、とても癒される
花には優しいリンゴのような香りがあり、とても癒される
コンパニオンプランツとしてエダマメと混植。手前に見えているのは食用ホオヅキ、その奥にエダマメ、ほうきもろこしを一緒に植えている
コンパニオンプランツとしてエダマメと混植。手前に見えているのは食用ホオヅキ、その奥にエダマメ、ほうきもろこしを一緒に植えている
赤い実も美しい。この実は、昔は食べていたのだそう
赤い実も美しい。この実は、昔は食べていたのだそう

 

●ローズマリー(シソ科、宿根草)
ローズマリーは、青く小さな花がまるでしずくのように見えることから「海のしずく」を意味するラテン語に由来していますが、その名の通りの淡いブルーの花が見事に咲きました。
ただ、一般的に普段はあまり花を付けない植物の花が咲くのは、根が詰まっているなど、生命の危機を感じた植物が子孫(タネ)を残したい証拠です。今年は一回り大きな鉢に植え替えをしてあげて、室内に取り込む予定です。

心を鎮めてくれるラベンダーの香りでリラックスタイム
心を鎮めてくれるラベンダーの香りでリラックスタイム

 

●ゴマ(ゴマ科、一年草)
今年は生徒さんからのリクエストがあり、久しぶりにゴマを栽培しました。普段何気なく食べているゴマですが、花の美しさに皆さん驚いていましたよ。莢(さや)が乾燥してきたので、10月初めに枝ごと収穫し乾燥させているところです。このあとは細かなゴミを選別して洗って、乾煎り(からいり)すると「炒りゴマ」の完成です! 手間ひまがかかる分、大切に味わいたくなりますね。

きれいな白ゴマが採れた。ゴマはリノール酸やオレイン酸、セサミンなどの栄養も豊富
きれいな白ゴマが採れた。ゴマはリノール酸やオレイン酸、セサミンなどの栄養も豊富
耐寒性があるので、北海道でも越冬可
耐寒性があるので、北海道でも越冬可

 

●カボチャと長芋 
毎年、バラ用のアーチに誘引しているミニカボチャも豊作に。このアーチにはキュウリも育てていますが、今年はキュウリのコンパニオンプランツとして長芋を混植。キュウリのつると長芋のつるが自然に絡み合い、誘引の手間も省けて大助かりでした。長芋にできたムカゴも収穫したので、そろそろ長芋を収穫しようかなと思っています。

お茶や入浴、化粧水づくりなど、さまさまに利用できる
お茶や入浴、化粧水づくりなど、さまさまに利用できる
地上部にできる丸い実のようなものが、長芋のムカゴ。土の中の芋は収穫するのに一苦労するが宝探しのようで楽しい
地上部にできる丸い実のようなものが、長芋のムカゴ。土の中の芋は収穫するのに一苦労するが宝探しのようで楽しい
ミニカボチャは食べ切りサイズで、大きなカボチャよりも日持ちするので重宝(9月18日撮影)
ミニカボチャは食べ切りサイズで、大きなカボチャよりも日持ちするので重宝(9月18日撮影)
キュウリはアーチの上からもぶら下がっていた(9月18日撮影)
キュウリはアーチの上からもぶら下がっていた(9月18日撮影)

カボチャの株元に植えたナスタチウムは、夏の暑さで生育が止まっていましたが、気温が下がり寒さに喜んでいるかのように再び元気に育ち、花が少ない秋の季節に彩りを添えてくれています。

黄色とオレンジ色の花が咲くナスタチウムは、別々にタネを採り保存している
黄色とオレンジ色の花が咲くナスタチウムは、別々にタネを採り保存している

 

●エンダイブ(キク科、一年草)
サラダなどにしていたエンダイブが成長して、ブルーの花が咲いています。エンダイブはレタスに似ていますが、レタスはキク科アキノノゲシ属で、エンダイブやチコリはキク科キクニガナ属。そのためエンダイブはチコリによく似た青い花が咲くのですね。本当に植物は奥深く、面白いものですね。

エンダイブの花。こぼれダネで翌年も発芽する
エンダイブの花。こぼれダネで翌年も発芽する

このあともポタジェでは、ムギのタネまきや鷹の爪、大豆、落花生、サツマイモ、ヤーコン、コクワなどの収穫が続きます。日に日に寒さは増していきますが、ポタジェの植物や雑草などもゆっくりと生長する季節。その分、ゆっくりと丁寧(ていねい)に植物と向き合えそうですね。

 

次回は、古い角質を優しく取り除く「ハーブゴマージュ」をご紹介したいと思います。

この記事を書いた人

藤井 純子

藤井 純子

「Pure Potager(ピュア ポタジェ)」代表。ポタジェ・アドバイザーとして道新文化センター札幌校などのセミナー講師のほか、新聞・雑誌にて執筆活動を行なう。また、ポタジェの魅力を一冊にまとめた「Green Finger ポタジェ~小さな庭が与えてくれる恵みと幸せ~」を執筆。「コーチャンフォーミュンヘン大橋店」で取り扱いのほか、HPに掲載のネットショップを利用。またはAmazonでも販売、「ポタジェ」で検索。

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