第54回

「クリスマスディスプレイ展」の会場を飾る“大型リース”の制作

今回は、百合が原公園(札幌市北区)で11月7日から開催の「クリスマスディスプレイ展」会場用に制作している、「大型リース」づくりの様子をご紹介します。
このコーナーでは、香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。「風葉香(ふうか)」は、風で葉っぱが揺れ香るハーブのことをイメージして。

プロフィール

かりの あさの

herbarist・ハーブ研究家、植物やハーブなどの講座講師。「ハーブのある暮らしの魅力」を多方面から発信。

 

 

札幌エリアの中山峠や手稲山でも初冠雪となり、紅葉も終盤に向かってきました。あんなに暑かった夏が嘘のように、日々寒さが増してきましたね。
自宅の工房では、クリスマスに向けてディスプレイを担当している各会場用のリースやスワッグづくりを進める毎日です。今回は、札幌市北区にある百合が原公園緑のセンターで11月7日から開催の「クリスマスディスプレイ展」会場用に制作している、「大型リース」づくりをご紹介したいと思います!

 

前回(第53回)ご紹介した、ヒバやコニファーベースのリース土台に花材を取りつけて、制作していきます。

前回、リースづくりのために準備していた、ヒバやコニファーのリース土台。自宅用に飾れるサイズや、大型リースまでサイズはさまざま
前回、リースづくりのために準備していた、ヒバやコニファーのリース土台。自宅用に飾れるサイズや、大型リースまでサイズはさまざま

ドライフラワーにしたアガパンサスの花穂を、まず最初にグルーで接着していきます。リースはいろいろな角度から見るものなので、花材を取りつけるときもその点を配慮します。テーブルの上で作業をしていると、上から見た範囲にたくさん花材や飾りをつけてしまいがちですが、壁にかけて見てみると左右・上下からの様子もよくわかります。

ドライフラワーにしたアガパンサスの花穂。ナチュラル感のある花材の一つ
ドライフラワーにしたアガパンサスの花穂。ナチュラル感のある花材の一つ
ヒバの葉がきれいなリース土台に、バランスを見ながらドライの花穂を取りつける。左右・上下からもバランスを確認!
ヒバの葉がきれいなリース土台に、バランスを見ながらドライの花穂を取りつける。左右・上下からもバランスを確認!

次にローズヒップ。クリスマスの雰囲気たっぷりなので、ヒバやコニファーに組み合せる花材としては欠かせない一つです。バランスを見ながら配置していきます。このとき、立体的になるようにつけていくと、よりナチュラルな感じの仕上がりになります。また、1本ずつ取りつけるより、数本束ねて部品(パーツ)化しておくと、作業がはかどります。

フラワーテープを利用して束ねるとよい
フラワーテープを利用して束ねるとよい
ローズヒップを数本手に取り、フラワーテープを巻きつけて束ねる。パーツ化すると作業しやすい
ローズヒップを数本手に取り、フラワーテープを巻きつけて束ねる。パーツ化すると作業しやすい

ローズヒップを束ねたものを必要な数だけつくり、これを取りつけていきます。グルーでベースの中に接着して固定していきます。

パーツ化したローズヒップをグルーで接着し、バランスよく配置していく
パーツ化したローズヒップをグルーで接着し、バランスよく配置していく

松ぼっくりも、クリスマスのリースづくりには欠かせないアイテム。私の場合は、大型のリースを制作するときは特に、1つずつ取りつけるのではなく、松ぼっくりも3つくらいをワイヤーで1つにまとめ、パーツにしてから使うことが多いです。形・サイズの異なるものを合わせることで、揃いすぎずにより自然な雰囲気になります。また、土台にしっかりとワイヤーで固定できるメリットもあります。

ワイヤーを松かさの間に巻いて、1つのパーツにする。ワイヤーを長めに残しておくと、そのままリースに巻きつけて固定することができる
ワイヤーを松かさの間に巻いて、1つのパーツにする。ワイヤーを長めに残しておくと、そのままリースに巻きつけて固定することができる
パーツ化した松ぼっくりを、ワイヤーでヒバのリース土台に固定する
パーツ化した松ぼっくりを、ワイヤーでヒバのリース土台に固定する

今回のディスプレイ用には、60cm近いサイズのリースにしました。このように大型のものはヒバやコニファー自体の重さで形が崩れやすいので、可能であればヒバやコニファーをたくさん使って、密度を高くしてあげるとよいです。その分 重量も増えるため、設置する壁も重さに耐えられないといけません。

会場はディスプレイ用に対応した場所を使用するので、その点はクリアしていますが、もし一般のお宅で大きなリースを設置したい場合は、壁などの飾る場所の耐荷重もチェックしておきましょう。

仕上りサイズは60cm近い大型リースに
仕上りサイズは60cm近い大型リースに

今回、展示する予定の壁の色は茶系。少し目を引く明るさが欲しいので、思い切って白い花材も使ってみました。市販のものですが、クルクルと巻いたような形をしていて、可愛らしい木質のものです。

動きのある木質の花材。白い色が目を引くアクセントになる
動きのある木質の花材。白い色が目を引くアクセントになる
ポイント的にバランスよく配置。リボンのような動きも加わった
ポイント的にバランスよく配置。リボンのような動きも加わった

白い花材のおかげで、雰囲気が明るくなりましたね。ただ、コントラストがはっきりしすぎかな…と若干気になりましたので、ドライフラワーにしておいたエリンジウムも使ってみました。葉色はシルバー、花はブルーで花材の優等生。いつもでしたらアクセントに利用する色ですが、今回は色彩のまとめ役に利用。白色もなじんで、落ち着いた雰囲気におさまりました。

ドライフラワーのエリンジウムを、コントラストの強さを抑えたい箇所に加える
ドライフラワーのエリンジウムを、コントラストの強さを抑えたい箇所に加える

このような感じで、少しずついろいろな花材を足していき、完成に向かっていきます。グリーンや赤、白の中にシルバーブルーのエリンジウムをプラスして、なんとかまとまりのよいリースに仕上がりましたね! 最後にクリアラッカースプレーをリース全体にかけてあげると、長持ちします。また、今回のように会場が温室内ですと、湿度対策にもなります。

 

毎年、時間も気力も体力も必要な大型の作品から順に仕上げています。後回しにすると、心が折れそうになりますからね…(笑)。

完成した大型リース
完成した大型リース

ご紹介したリースは、百合が原公園緑のセンター「クリスマスディスプレイ展」の会場に展示されますので、よろしければ足を運んでくださいね。11月7日~12月17日まで開催しています! (下記参照)

この記事を書いた人

かりの あさの

かりの あさの

herbarist・ハーブ研究家。ハーブやアロマの指導員などの資格を有し、30年以上植物と向き合い得た知識・経験をもとに、企業のアンバサダーや商品開発に携わる。また、さまざまな講座開催や公共の場での「みどりのまちづくり」のサポートなど、幅広く「ハーブのある暮らしの魅力」を伝えている。かりの あさのHP「ハーブまるごと生活」では、ハーブ&アロマのトータル情報をお届け。Facebook「かりのハーブcom」やInstagram「かりのハーブ」も。

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