
わたしの庭どうぐ ハリスのPVCブラシ ~庭の掃除や道具のメンテに便利
武藤 良幸
ガーデニングを快適に! 使いやすい道具やおしゃれなガーデニングウェアを身に着けて、庭しごとを楽しく行ないましょう。「庭どうぐ」の基本の選び方、豆知識、おすすめなどを、園芸グッズの企画・開発も行なう武藤良幸さんが伝授します。
この大きなちり取りの呼び名は、「手箕(てみ)」もしくは「箕(み)」といいます。ガーデニングで大活躍するこの庭道具、元は脱穀用として使われていた農具がルーツのようです。そして農家さんだけじゃなく、植木屋さんや庭師さんといった庭をきれいにする職人にとっても必携のプロツールといわれています。
丈夫で軽くて、水気に強いプラスチック製の手箕は、ホームセンターだと数百円で購入できるものの、その名前や便利さも含めて一般的にまだなじみは薄いようです。
剪定した枝や落ち葉を集めるちり取りとしてはもちろん、肥料や種子や目土などを小脇に抱えて播(ま)くときのバスケット代わりだったり、鉢植えを植え替えするときの下敷きなど、使い方はガーデナーによってさまざま。すくう、運ぶ、ためる、注ぐ…、人それぞれの想像力でいろいろな使い方ができるよい庭道具です。
私の場合は、泥だらけのブーツといった汚れものを一時的に車のトランクに乗せなければならないときのトレイとしても使っています。ほかに雪山で遊ぶ子どもたちが手箕をソリ代わりにしているのを見て、九州出身の私は驚いたことがありました。
そんな便利なプラスチック製の手箕なのに、私が知る限り海外のツールショップやホームセンターであまり見かけたことはなく、だからなのか、外国人ガーデナーが来日するたびに買って帰ると聞いたことがあります。あるイギリス人ガーデナーに手箕を紹介した際、彼は「トラッグ(収穫カゴ)としてもいいし、夏は日よけや団扇(うちわ)にも使えるね!」と感心していました。丈夫で安いプラスチック製の日本の手箕は、今や世界中のガーデナーを魅了しているようです。
プラスチック製の手箕は国内数社のメーカーが製造販売していて、リサイクル材を使ったり、色やサイズの違いだけじゃなく、持ちやすさを工夫したものや、くぼみ部分に穴が開いていて水切りにも使えるタイプなど、いくつかの種類があります。もしまだ手箕を持っていないガーデナーがいらしたら、お気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
余談ですが、私が初めて手箕の存在を知ったのは物心ついてすぐの頃だったと記憶しています。親類の集まりだったか、ほろ酔いのおじさんが安来節(やすぎぶし)を唄いながらドジョウすくいのポーズをしているその手にあったのが、紛れもない手箕でした。
最後に、安価なプラスチック製の手箕は気軽に買い替えできるからか雑に扱われがちな印象がありますが、上の写真は一つの手箕を何年も大事に使っている方の愛用品を撮影させてもらいました。庭どうぐ専門家としてとても嬉しい気持ちになります。
「momiji合同会社」代表。「momiji(もみじ)」は人と園芸、人と庭をつなぐための会社。若い園芸家や庭師を育て、彼らの道具や新しいガーデニンググッズの企画・販売を行なう。また、おしゃれな道具など介し、園芸・ガーデニングの普及活動に努めている。
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