第26回

庭どうぐ ハサミの切れ味を復活させる「シャープナー」って?

ガーデニングを快適に! 使いやすい道具やおしゃれなガーデニングウェアを身に着けて、庭しごとを楽しく行ないましょう。「庭どうぐ」の基本の選び方、豆知識、おすすめなどを、園芸グッズの企画・開発も行なう武藤良幸さんが伝授します。

 

ハサミの切れ味が復活!
ガーデニング用「ペン型シャープナー」

あっという間に冬、そして年末ですね。
今年のガーデニングはいかがでしたか? 夏の北海道は、札幌近郊で記録的な猛暑日が続いたり、晩秋には雪虫(ゆきむし)が大量発生して庭の中でもマスクが外せなかったりと、いつになく大変な思いをしたガーデナーも少なくないように思います。

そんなシーズンを一緒に頑張った“庭道具”の状態はどうですか? 汚れたり、調子が悪いままのものがあれば、早めにメンテナンスしておくことが大切です。


今回は、数ある庭道具の中から、ハサミのメンテナンスについて触れてみます。私の元へ届くメンテナンス相談で特に多いのが、「ハサミの切れ味がだんだん悪くなってきたけど、砥石(といし)の使い方がわからないし、どこをどう砥いだらいいの?」という質問です。

ツールショップやホームセンターの園芸用ハサミ売り場には、さまざまな種類の砥石やシャープナーがある
ツールショップやホームセンターの園芸用ハサミ売り場には、さまざまな種類の砥石やシャープナーがある

キッチンの包丁と同じで、ガーデニング用のハサミも砥石(といし)で砥ぎ直せば、切れ味が復活し、よい状態を維持できます。でも、それはハサミの砥ぎ方や砥石の扱いに相当慣れている人だからできること。ちょっとでも砥ぎ方を間違えてしまうと、砥ぐ前よりも切れないハサミになってしまうことも多いです。砥ぎ方を覚えるためにコラムや動画を探すよりも、慣れた人に目の前で実践してもらいながら教えてもらうか、メーカーや刃砥ぎの専門業者に依頼する方が無難です。

ですので、ここでは砥石やその砥ぎ方ではなく、一時的に切れ味を復活させる、手軽な「シャープナー」について使い方などお伝えしたいと思います。

手軽に使えて、一時的に切れ味を復活させるシャープナー
手軽に使えて、一時的に切れ味を復活させるシャープナー

最初に、シャープナーを使うデメリットをお伝えしておきたいのですが、シャープナーを頻繁に使うとハサミの寿命は短くなってしまいます。そのためシャープナーを使う場合は、剪定バサミ・切断工具メーカーの「フェルコ」「アルス」といった替え刃も販売しているメーカーのハサミを買うか、割り切って定期的に買い替えるくらいの気持ちでいる必要があります。

なぜなら、シャープナーは刃を砥ぐというより、鋭利さを失って丸くなった刃先をギザギザに傷づけるために使う道具だからです。ギザギザになった刃先はかたい枝へ食い込みやすくなり、一時的に切れ味が復活します。でも、そんな傷だらけの刃はもろくて、またすぐにシャープナーで刃先を傷つけないと切れ味を維持できなくなってしまいます。
頻繁に刃先を傷つけることで刃こぼれしやすくなる、刃自体の形が変わってしまうなどの理由から、ハサミとしての寿命を縮めてしまうのです。
そんなデメリットを前提としていますが、簡単に切れ味を復活させることができるシャープナーは、園芸用の刃物に限らず、多くの方々が利用されているかと思います。

国内外の数社から販売されている、ガーデニング用「ペン型シャープナー」。小型で使いやすく、芯の部分が出し入れできるため携帯にも便利
国内外の数社から販売されている、ガーデニング用「ペン型シャープナー」。小型で使いやすく、芯の部分が出し入れできるため携帯にも便利

園芸ハサミ用のシャープナーは小型のものが多く、ツールポーチやポケットに携帯できることで剪定中も手軽に使える目的があるようです。キッチン用として販売されているスティック状のセラミックやダイヤモンドシャープナーも同様に使えます。

 

シャープナーを使うコツは、力を入れず、刃の表(刃先に角度がある方)をシャッシャッと2~3回シャープナーを滑らせ、次に刃の裏をシャッと1回だけ滑らせて、刃先を軽く傷つけるイメージです。力を入れすぎたり、刃の表裏(特に裏側)を何回も往復させるのはNGです! また、怪我(けが)をしないよう、丈夫な手袋をつけるのも大事ですね。

刃の表についた刃先の角度に沿って 2~3 回ほどシャープナーを軽く滑らせるイメージ
刃の表についた刃先の角度に沿って 2~3 回ほどシャープナーを軽く滑らせるイメージ

最後にもう一つ、ハサミのメンテナンスで大切なことがあります。切れ味が鈍いという人のハサミを見せてもらうと、実はシャープナーを使うまでもないものが意外と多くあります。
切れない理由は、ただ刃が汚れているから。その汚れというのはヤニ、樹液、つまり植物の脂分が刃の表面で固まっている状態です。刃物を使うたびに刃の汚れをすぐ拭き取っていれば問題ないのですが、ハサミやノコギリを使ったまま放置してしまうと、刃の表面についた脂分は酸化してプラスチックみたいに固まります。そんな状態のハサミは刃の摩擦抵抗が大きくなって切れにくくなったり、ノコギリならブレードの滑りが悪くなったりして、切れ味が悪くなったと感じてしまいます。
固まった脂汚れは拭いても取れず、食器用洗剤で洗ってもなかなか落ちません。そんなときは、刃物クリーナーや換気扇の油汚れクリーナーを使って脂分を溶かします(脂を熱で溶かそうと火で炙(あぶ)ったり、熱湯をかけたりすることは、刃がもろくなるため厳禁です)。

刃の汚れに刃物クリーナーを吹きつけ、1分ほど待つとみるみるうちに汚れが落ちていく
刃の汚れに刃物クリーナーを吹きつけ、1分ほど待つとみるみるうちに汚れが落ちていく

汚れを落とすだけで切れ味が戻ることがあるため、シャープナーの使用や専門業者へ刃砥ぎを依頼する前に、まずはクリーニングをやってみましょう。クリーナーを使ったあとは刃を水洗いし、水分を拭き取ったら、錆(さび)の予防として刃物油や機械油を塗って刃をコーティングします。専用の油がないときは、オリーブオイルやベビーオイルでも代用できます。ただし、サラダ油は酸化してベタベタするからおすすめできません。

この記事を書いた人

武藤 良幸

武藤 良幸

「momiji合同会社」代表。「momiji(もみじ)」は人と園芸、人と庭をつなぐための会社。若い園芸家や庭師を育て、彼らの道具や新しいガーデニンググッズの企画・販売を行なう。また、おしゃれな道具など介し、園芸・ガーデニングの普及活動に努めている。

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