
今週の花(1月12日) アルケミラ モリス
走川 貴美
エルミタージュ=隠れ家的な、走川さんご夫婦のお庭から、今が旬の「今週の花」を紹介します。
撮影:走川 正裕 文:走川 貴美
今シーズンの我が家の庭は、片付けが進んでほぼ花はなくなってしました。そこで今回から、これまで訪ねてきたイギリスのガーデンから、印象に残る素敵な花々を紹介していきたいと思います。
今回は「バラ」です。先日、我が家のバラ‘グラハム トーマス’を冬囲いしながら、イギリスでの花旅を懐かしく思い出しておりました。
イギリスのガーデンと言えば、「バラ」がとても美しく演出されているのですが、その中でも特に素晴らしいのが「モティスフォント アビー&ガーデン」です。
よく雑誌などに取り上げられている、あの白いベンチのある風景の場所。その背景で咲くのはバラ‘コンスタンス スプライ'で、有名なバラの一つではないでしょうか。訪れたのは6月中旬。バラの季節は、札幌より少し早めです。
モティスフォント アビー&ガーデンは修道院の中につくられており、レンガの高い塀に囲まれています。塀の外から中を見ると、それは圧倒される美しさ。前年の7月に訪れたときはバラよりもラベンターが目立っていたので、「次は6月に…」と思い再訪しました。
ロンドン南西部のハンプシャー州にあり、現在はナショナルトラストが管理しています。バラ栽培家のグラハム・トーマスが数々のバラ、オールドローズを集めてデザインした一大コレクションです。
一年に1度咲く、一季咲きのバラ(オールドローズなど)が多いのですが、ほかの時期もきれいな庭風景になるよう、さまざまな宿根草も植えられています。カンパニュラ、ゲラニウム、フロックス、ジキタリス、アガパンサス、ネペタ、ラベンター、クレマチス、ピオニー、エルムレス、ダイアンサスなど、私たちが使っている植栽と一緒ですね。特に、ほかの花の株元で咲くダイアンサスが、花壇の引き締め役のように植栽されていて印象的でした。
バラ以外の植物も美しく使われていて、香りも素晴らしかったのが印象に残ります。色の使い方もとても勉強になりました。ピンク、ブルー、白、薄紫を濃淡をつけて組わ合わせており、花の形も変化に富んでいます。また、ピオニーがあちらこちらに植えられていたのを見て、「珍しい」と感じました。
黄色の花はコーナーを分けて使っていたり、生け垣の縁取りの中にふんわりと花が収まっている演出など、とても参考に。
ガーデンを訪れた人たちは、歓声をあげながら観賞していました。そしてベンチ(シート)に腰を下ろしてじっくりと眺めているので、なかなか移動してくれず、写真を撮るのに苦労したことを覚えています。
イングリッシュローズを代表する一つです。深みのある黄色い花は、ほどよいサイズの中輪カップ咲き。濃厚な香りにも魅了されます。シュラブとしても、つるバラとしても育てられ、庭の中ではアクセントに使われることも多いです。「バラの殿堂入り」も果たしています。
バラの栽培家で、ガーデンライターでもあったグラハム・トーマスは、デビッド・オースチンのナーサリーを頻繁に訪れていたそうです。影響を与えたその一つが、きっとこのバラ「グラハム トーマス」なのでしょうね。
この記事を書いた人
「オフィスサムグリーン」代表。「AMAサポーターズ倶楽部」代表、2016年に第27回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰受賞。日本フラワーデザイナー協会の講師なども務める。6年前から長沼町に移り住み、約750坪の庭を手入れしながら大好きな花々と緑に囲まれて暮らす。
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