第19回

今週の花(11月9日) バラ ~イギリス花紀行

エルミタージュ=隠れ家的な、走川さんご夫婦のお庭から、今が旬の「今週の花」を紹介します。

撮影:走川 正裕 文:走川 貴美

バラ‘グラハム トーマス’。深みのある黄色の花、濃厚なティーローズの香りがする
バラ‘グラハム トーマス’。深みのある黄色の花、濃厚なティーローズの香りがする

今シーズンの我が家の庭は、片付けが進んでほぼ花はなくなってしました。そこで今回から、これまで訪ねてきたイギリスのガーデンから、印象に残る素敵な花々を紹介していきたいと思います。

 

今回は「バラ」です。先日、我が家のバラ‘グラハム トーマス’を冬囲いしながら、イギリスでの花旅を懐かしく思い出しておりました。

 

イギリスのガーデンと言えば、「バラ」がとても美しく演出されているのですが、その中でも特に素晴らしいのが「モティスフォント アビー&ガーデン」です。
よく雑誌などに取り上げられている、あの白いベンチのある風景の場所。その背景で咲くのはバラ‘コンスタンス スプライ'で、有名なバラの一つではないでしょうか。訪れたのは6月中旬。バラの季節は、札幌より少し早めです。

「モティスフォント アビー&ガーデン」から。背景をつるバラ‘コンスタンス スプライ'が彩る、白いベンチのある風景
「モティスフォント アビー&ガーデン」から。背景をつるバラ‘コンスタンス スプライ'が彩る、白いベンチのある風景

モティスフォント アビー&ガーデンは修道院の中につくられており、レンガの高い塀に囲まれています。塀の外から中を見ると、それは圧倒される美しさ。前年の7月に訪れたときはバラよりもラベンターが目立っていたので、「次は6月に…」と思い再訪しました。

 

ロンドン南西部のハンプシャー州にあり、現在はナショナルトラストが管理しています。バラ栽培家のグラハム・トーマスが数々のバラ、オールドローズを集めてデザインした一大コレクションです。

レンガの塀に囲まれたガーデン。バラをメインに、宿根草と合わせて植栽デザインされる。背景になる、塀を覆うつるバラも見事
レンガの塀に囲まれたガーデン。バラをメインに、宿根草と合わせて植栽デザインされる。背景になる、塀を覆うつるバラも見事

一年に1度咲く、一季咲きのバラ(オールドローズなど)が多いのですが、ほかの時期もきれいな庭風景になるよう、さまざまな宿根草も植えられています。カンパニュラ、ゲラニウム、フロックス、ジキタリス、アガパンサス、ネペタ、ラベンター、クレマチス、ピオニー、エルムレス、ダイアンサスなど、私たちが使っている植栽と一緒ですね。特に、ほかの花の株元で咲くダイアンサスが、花壇の引き締め役のように植栽されていて印象的でした。

合わせる花はカンパニュラ、ゲラニウム、ジキタリス、エレムレス、ラムズイヤー、ネペタ、ダイアンサス、アリウム、ユリ、ジャーマンアイリスなど、北海道の庭でも目にするものが多い
合わせる花はカンパニュラ、ゲラニウム、ジキタリス、エレムレス、ラムズイヤー、ネペタ、ダイアンサス、アリウム、ユリ、ジャーマンアイリスなど、北海道の庭でも目にするものが多い
ダイアンサスはナデシコの仲間で、優しい草姿に可憐な花を咲かせる。草丈20~60cmと使いやすく、ほかの植栽の株元の彩りに
ダイアンサスはナデシコの仲間で、優しい草姿に可憐な花を咲かせる。草丈20~60cmと使いやすく、ほかの植栽の株元の彩りに

バラ以外の植物も美しく使われていて、香りも素晴らしかったのが印象に残ります。色の使い方もとても勉強になりました。ピンク、ブルー、白、薄紫を濃淡をつけて組わ合わせており、花の形も変化に富んでいます。また、ピオニーがあちらこちらに植えられていたのを見て、「珍しい」と感じました。
黄色の花はコーナーを分けて使っていたり、生け垣の縁取りの中にふんわりと花が収まっている演出など、とても参考に。

 

ガーデンを訪れた人たちは、歓声をあげながら観賞していました。そしてベンチ(シート)に腰を下ろしてじっくりと眺めているので、なかなか移動してくれず、写真を撮るのに苦労したことを覚えています。

ベンチの背景になるレンガの塀に、つるバラの黄色の花が映える
ベンチの背景になるレンガの塀に、つるバラの黄色の花が映える
エッジを利かせて刈り込んだ生け垣に、花々がふんわりと収まっているのが印象的
エッジを利かせて刈り込んだ生け垣に、花々がふんわりと収まっているのが印象的

バラ‘グラハム トーマス’

イングリッシュローズを代表する一つです。深みのある黄色い花は、ほどよいサイズの中輪カップ咲き。濃厚な香りにも魅了されます。シュラブとしても、つるバラとしても育てられ、庭の中ではアクセントに使われることも多いです。「バラの殿堂入り」も果たしています。
バラの栽培家で、ガーデンライターでもあったグラハム・トーマスは、デビッド・オースチンのナーサリーを頻繁に訪れていたそうです。影響を与えたその一つが、きっとこのバラ「グラハム トーマス」なのでしょうね。

我が家の庭では、シュラブ状の自然な感じに。同系色のアルケミラ・モリスと合わせたり、紅色のリクニスや青系のクナウティアなど対比色で引き立てるようになど、色合わせを楽しむ
我が家の庭では、シュラブ状の自然な感じに。同系色のアルケミラ・モリスと合わせたり、紅色のリクニスや青系のクナウティアなど対比色で引き立てるようになど、色合わせを楽しむ

この記事を書いた人

走川  貴美

走川 貴美

「オフィスサムグリーン」代表。「AMAサポーターズ倶楽部」代表、2016年に第27回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰受賞。日本フラワーデザイナー協会の講師なども務める。6年前から長沼町に移り住み、約750坪の庭を手入れしながら大好きな花々と緑に囲まれて暮らす。

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